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[P36-4]閉塞性大腸癌に対する大腸ステントによるBridge to Surgery症例の短期・中期成績

花田 圭太, 神崎 友敦, 吉村 直生, 伊藤 孝, 武田 亮二, 松下 貴和 (洛和会音羽病院)
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【はじめに】
近年,閉塞性大腸癌に対しステント治療を用いたBridge to surgeryが普及しており当院においても,その適応症例が増加している.
【目的】
閉塞性大腸癌に対するステント留置後の短期・中期成績を明らかにする.
【対象と方法】
2016年から2025年までに,当院でステント留置後に原発巣切除を行った閉塞性大腸癌52例の治療成績をretrospectiveに解析した.
【結果】
年齢中央値は74歳,性別は男/女:/30/22例.腫瘍部位は上行結腸/横行結腸/下行結腸/S状結腸/直腸S状部:8/12/5/20/7例,pStageはII/III/IV:20/19/13例であった.ステント挿入から手術までの期間中央値は31日であった.手術アプローチはロボット支援下/腹腔鏡下/開腹:7/39/6例で,ロボット支援下・腹腔鏡下症例での開腹移行例はなかった.術式は49例で原発巣切除と一期的再建を行い,3例にハルトマン手術を行った.他臓器合併切除は膀胱1例,脾臓1例,膵体尾部・脾臓1例,小腸2例施行した.CD grade 2以上の術後合併症を10例(19.2 %)に認め,内訳は腹腔内膿瘍3例,創感染1例,麻痺性イレウス3例,肺炎1例,尿路感染1例,深部静脈血栓症1例であった.術後在院日数中央値は10日であった.切除標本の病理組織学的検査では,他臓器合併切除症例のうち浸潤を認めたのは膀胱と脾臓の2例であった.剥離断端は9例(17.3%)で陽性もしくは陽性疑いであったが,そのうち局所再発を1例に認めた.術後2年経過しているpStage II 7例,pStageIII 10例について予後検討を行なった.術後補助化学療法はpStage II 1例(14.3%),pStageIII 8例(80%)で施行されていた.観察期間中央値は2.6年,pStageII 2例(28.5%),pStage III 3例(30%)に再発を認めた.
【結語】
大腸ステント留置により一期的切除,再建を安全に行うことが可能であった.一方で,術中所見でステントによる炎症と癌浸潤の判別は難しく,R0切除のための正確な切除範囲決定には課題を残した.