Presentation Information
[P36-5]当科における閉塞性大腸癌に対する術前ステント留置後の腹腔鏡下手術の安全性の検討
田島 ジェシー雄, 鷹羽 律紀, 横井 亮磨, 水谷 千佳, 松本 圭太, 浅井 竜一, 松橋 延壽 (岐阜大学医学部医学系研究科消化器外科・小児外科)
【背景】SEMS(self-expandable metallic stent)を用いたステント留置術は閉塞性大腸癌に対する減圧治療の新しい選択肢であり、本邦でも保険適用後、報告例も増えている。術前ステント留置(Bridge to Surgery; BTS)は緊急手術を回避し、術前スクリーニングや全身状態の改善を図ることができ、一期的吻合も可能となる。他方ステント留置は腫瘍を圧排し腫瘍進展を助長するという報告もあり、その長期的有効性については一定の見解を得ていない。またステント留置例に対する腹腔鏡手術についても十分なエビデンスはなく、ガイドラインにも明記されていない。今回当科における閉塞性大腸癌に対するBTSの短期長期的有効性を開腹手術と腹腔鏡手術で比較検討を行った。
【対象と方法】2013年から2022年までに当科で手術を行った閉塞性大腸癌116例の短期及び長期成績を開腹手術群(O群: 27例)と腹腔鏡手術群(L群: 89例)に分け、後方視的に比較検討を行った。
【結果】患者背景では(O群vs L群)、ASA-PS 1が11.1% vs 34.8% (p=0.018)、腫瘍因子では、pN(+)が59.3% vs 60.7% (p=0.043)、手術因子では、出血量(中央値)が165ml vs 10ml (p=0.035)とそれぞれ統計学に有意差を認めた、術後合併症はClavien-Dindo分類≥grade IIIがO群で4例(14.8%)、L群で15例(16.9%)と同等であった。病期別3年生存率(O群vs L群)は、Stage II(75.0% vs 96.7%, p=0.001)、Stage III(87.5% vs 82.1%, p=0.865)、病期別3年無再発生存率は、Stage II(85.7% vs 93.2%, p=0.565)、Stage III(62.5% vs 79.8%, p=0.349)、L群で良好な傾向を示した。
【結語】術前ステント治療は比較的安全に施行可能であり、腹腔鏡下手術も許容された。依然穿孔などのリスクがあるため、リスクに早急に対応できる環境整備が必要である。
【対象と方法】2013年から2022年までに当科で手術を行った閉塞性大腸癌116例の短期及び長期成績を開腹手術群(O群: 27例)と腹腔鏡手術群(L群: 89例)に分け、後方視的に比較検討を行った。
【結果】患者背景では(O群vs L群)、ASA-PS 1が11.1% vs 34.8% (p=0.018)、腫瘍因子では、pN(+)が59.3% vs 60.7% (p=0.043)、手術因子では、出血量(中央値)が165ml vs 10ml (p=0.035)とそれぞれ統計学に有意差を認めた、術後合併症はClavien-Dindo分類≥grade IIIがO群で4例(14.8%)、L群で15例(16.9%)と同等であった。病期別3年生存率(O群vs L群)は、Stage II(75.0% vs 96.7%, p=0.001)、Stage III(87.5% vs 82.1%, p=0.865)、病期別3年無再発生存率は、Stage II(85.7% vs 93.2%, p=0.565)、Stage III(62.5% vs 79.8%, p=0.349)、L群で良好な傾向を示した。
【結語】術前ステント治療は比較的安全に施行可能であり、腹腔鏡下手術も許容された。依然穿孔などのリスクがあるため、リスクに早急に対応できる環境整備が必要である。