Presentation Information
[P37-6]慢性裂肛による肛門狭窄で腸閉塞を来した1例
定光 ともみ1, 植田 剛1,2, 竹井 健1, 切畑屋 友希1, 西和田 敏1, 田仲 徹行1, 吉村 淳1 (1.南奈良総合医療センター外科, 2.佐井胃腸科肛門科)
【背景】裂肛は肛門三大疾患の一つであり,痔核に次いで頻度の高い疾患である.慢性化により肛門狭窄を来し手術に至ることが多いが,腸閉塞を来すことはまれである.今回我々は,慢性裂肛による肛門狭窄を原因とした腸閉塞症例を経験したので報告する.
【症例】60歳代女性.脳梗塞後で当院脳神経外科通院中.杖歩行程度のADLであった.認知機能は問題なし.受診数日前から出現した腹痛の増悪と嘔気嘔吐を主訴に当院救急外来を受診.腹部CTで直腸に至るまでの全大腸の著明な拡張を認め,直腸狭窄による腸閉塞を疑われ,当科紹介受診となった.肛門診察で示指が抵抗を感じながら何とか挿入可能な程度の肛門狭窄を認めた.挿入による用手拡張で直ちに多量の排ガスと便汁が排泄され,症状も改善を認めた.ある程度減圧した後に多孔式チューブタイプドレーンを挿入し更なる減圧を図った.翌日,腸閉塞が改善されたことを確認した後,脊椎麻酔下にJack-Knife体位で肛門を観察し,慢性裂肛による肛門狭窄と判断,引き続いて皮膚弁移動術(SSG)を施行した.術後経過は良好であり,術後3日目に退院した.その後外来で半年間術後経過をフォローしたが,肛門狭窄の再燃なく,終診となった.
【考察】腸閉塞を来す直腸狭窄として頻度が高いのは腫瘍であり,自験例でもまずは直腸癌が疑われたが,救急外来での診察で狭窄は肛門に限局しており,また悪性を疑う肛門診察所見は認めなかったことから,良性の肛門狭窄が腸閉塞の原因であったと判断できた.CTでも典型的な直腸癌或いは肛門管癌の所見は認めなかった.裂肛による肛門狭窄が腸閉塞に至った症例の報告は少なく,人工肛門造設,或いは経肛門的手術(肛門形成術)が行われている.自験例は,来院時の用手拡張で著明に改善したため,経肛門的手術を選択できた.慢性裂肛に伴う肛門狭窄が腸閉塞の原因となり得ることに留意し,詳細な診察と必要に応じた減圧処置を行うことで,低侵襲治療につながると考えられた.
【症例】60歳代女性.脳梗塞後で当院脳神経外科通院中.杖歩行程度のADLであった.認知機能は問題なし.受診数日前から出現した腹痛の増悪と嘔気嘔吐を主訴に当院救急外来を受診.腹部CTで直腸に至るまでの全大腸の著明な拡張を認め,直腸狭窄による腸閉塞を疑われ,当科紹介受診となった.肛門診察で示指が抵抗を感じながら何とか挿入可能な程度の肛門狭窄を認めた.挿入による用手拡張で直ちに多量の排ガスと便汁が排泄され,症状も改善を認めた.ある程度減圧した後に多孔式チューブタイプドレーンを挿入し更なる減圧を図った.翌日,腸閉塞が改善されたことを確認した後,脊椎麻酔下にJack-Knife体位で肛門を観察し,慢性裂肛による肛門狭窄と判断,引き続いて皮膚弁移動術(SSG)を施行した.術後経過は良好であり,術後3日目に退院した.その後外来で半年間術後経過をフォローしたが,肛門狭窄の再燃なく,終診となった.
【考察】腸閉塞を来す直腸狭窄として頻度が高いのは腫瘍であり,自験例でもまずは直腸癌が疑われたが,救急外来での診察で狭窄は肛門に限局しており,また悪性を疑う肛門診察所見は認めなかったことから,良性の肛門狭窄が腸閉塞の原因であったと判断できた.CTでも典型的な直腸癌或いは肛門管癌の所見は認めなかった.裂肛による肛門狭窄が腸閉塞に至った症例の報告は少なく,人工肛門造設,或いは経肛門的手術(肛門形成術)が行われている.自験例は,来院時の用手拡張で著明に改善したため,経肛門的手術を選択できた.慢性裂肛に伴う肛門狭窄が腸閉塞の原因となり得ることに留意し,詳細な診察と必要に応じた減圧処置を行うことで,低侵襲治療につながると考えられた.