Presentation Information
[P5-6]直腸S状部癌,上部直腸癌における肛門側切除腸管長についての検討
吉川 千尋, 小山 文一, 岩佐 陽介, 高木 忠隆 (奈良県立医科大学附属病院消化器・総合外科学教室)
【目的】大腸癌の切除腸管長は領域リンパ節の定義に深く関連する.大腸癌治療ガイドラインでは遠位切離端(DM)は直腸S状部癌で30mm以上,上部直腸癌で20mm以上をを確保するように推奨されているが,DMと局所再発との関連は明らかではない.当科では現在でも腸管傍リンパ節領域を細分化して検索している.今回,直腸S状部癌の切除腸管長,郭清リンパ節と局所再発との関連性について検討した.
【方法】2008年1月から2022年12月の間に当院で吻合を伴う根治切除術を施行した直腸癌のうち腫瘍下縁がRs-RaでpT2/T3/T4aの患者76例を対象とした. 当科では腸管傍リンパ節を更にN1T,N1O,N2O,N1A,N2Aの5群に細分類して評価を行っている.今回,切除腸管長(PM,DM),腸管傍リンパ節陽性例と,局所再発について検討した.
【結果】年齢中央値は63(36-82)歳,男/女:44/32例であった. cT2/T3/T4aは7/36/32/1でcN0/N1a/N1b/N2a/N2bは32/15/22/6/2で術式は前方切除術が51例,低位前方切除術が25例であった. pT2/T3/T4aは9/58/9例であり,Ly1≦は63例,v1≦は60例であった.リンパ節郭清施行割合はNo253,No252,No251,N1O,N1T,N1Aは100%でNo251,N2O:94.7%,N2A:14.4%であった.リンパ節陽性割合はNo253:0%,No252:6.5%,No251,N2O:1.3%,N1O:10.5%,N1T:35.5%,N1A:5.2%,N2A:9.1%であった.局所再発は4例に認めた.局所再発4例の詳細はcT3/T4a:3/1例,cN0/N1b:3/1例であり全例に高位前方切除術を施行し,DMは30/25/20/20(mm)でpT3/T4a:2/2例,pN0/N1a(No252+)/N1b(N0251N1T+,N1A+):2/1/1例であった.切離腸管長の中央値は局所再発群/非局所再発群でPM:75/100(mm),DM:22.5/42.5(mm)であった.肛門縁から吻合部までの距離は局所再発群105mm, 非局所再発群で100mmと有意差は認めなかった. 統計学的に局所再発のリスク因子としてDM30(mm)以内のみが抽出された.
【結語】Rs Ra直腸癌症例において不十分なDM長は局所再発のリスクとなるため十分なDMを確保することが重要である.
【方法】2008年1月から2022年12月の間に当院で吻合を伴う根治切除術を施行した直腸癌のうち腫瘍下縁がRs-RaでpT2/T3/T4aの患者76例を対象とした. 当科では腸管傍リンパ節を更にN1T,N1O,N2O,N1A,N2Aの5群に細分類して評価を行っている.今回,切除腸管長(PM,DM),腸管傍リンパ節陽性例と,局所再発について検討した.
【結果】年齢中央値は63(36-82)歳,男/女:44/32例であった. cT2/T3/T4aは7/36/32/1でcN0/N1a/N1b/N2a/N2bは32/15/22/6/2で術式は前方切除術が51例,低位前方切除術が25例であった. pT2/T3/T4aは9/58/9例であり,Ly1≦は63例,v1≦は60例であった.リンパ節郭清施行割合はNo253,No252,No251,N1O,N1T,N1Aは100%でNo251,N2O:94.7%,N2A:14.4%であった.リンパ節陽性割合はNo253:0%,No252:6.5%,No251,N2O:1.3%,N1O:10.5%,N1T:35.5%,N1A:5.2%,N2A:9.1%であった.局所再発は4例に認めた.局所再発4例の詳細はcT3/T4a:3/1例,cN0/N1b:3/1例であり全例に高位前方切除術を施行し,DMは30/25/20/20(mm)でpT3/T4a:2/2例,pN0/N1a(No252+)/N1b(N0251N1T+,N1A+):2/1/1例であった.切離腸管長の中央値は局所再発群/非局所再発群でPM:75/100(mm),DM:22.5/42.5(mm)であった.肛門縁から吻合部までの距離は局所再発群105mm, 非局所再発群で100mmと有意差は認めなかった. 統計学的に局所再発のリスク因子としてDM30(mm)以内のみが抽出された.
【結語】Rs Ra直腸癌症例において不十分なDM長は局所再発のリスクとなるため十分なDMを確保することが重要である.