Presentation Information
[P6-6]横行結腸癌術後の吻合部近傍静脈瘤に対し,血管内治療にて止血を得た一例
若松 雅人, 黒柳 洋弥, 上野 雅資, 花岡 裕, 福井 雄大, 平松 康輔, 冨田 大輔 (虎の門病院消化器外科)
症例は65歳男性.下血精査のためX-4年12月に他院で大腸内視鏡検査を施行したところ,横行結腸左側に1/3周性の2型病変を認めたため手術目的に当院紹介となった.同月,腹腔鏡下横行結腸切除術を施行し,術後病理はpT2N0M0,pStageⅠであった.術後は再発なく外来で経過観察されていた.
X-1年8月,下血を主訴に受診し大腸内視鏡検査を施行したところ,吻合部付近に拡張した静脈を認め,一部から噴出性の出血をきたしておりクリップ止血術を施行した.X年1月,X年2月にも同様の症状で受診し,前回クリップを置いた近傍の拡張静脈に対しクリップ止血術を施行した.X年2月の入院時には,3回目の症状出現のため異なる治療法が必要と考えられ,外科的吻合部切除を試みる前に血管内治療による止血術が提案された.
大腿動脈から穿刺し,SMA,IMAからそれぞれ門脈造影を行い観察したところ,横行結腸吻合部において静脈血が左右から合流しうっ滞・静脈瘤を形成していた.静脈瘤に対して経門脈的にアプローチし,責任病変を栄養する血管の起始部からオルダミンを使用した硬化療法を行った.静脈瘤の消退を確認し,手技を終了した.
処置後4日目に肝胆道系酵素・直接型優位のビリルビン上昇を認め,血管内治療に伴う胆道損傷を疑われたが保存的加療で軽快し,症状再燃なく処置後16日目に退院した.処置から2か月,症状の再燃を認めていない.
門脈圧亢進症患者において,消化管癌術後に吻合部近傍で異所性静脈瘤を認める場合はあるが,本症例では肝疾患の背景などがなかったため,下血症状の原因解明と対処法に苦慮した.大腸癌術後の繰り返す下血に対する治療に関し,吻合部近傍に拡張静脈瘤をきたした症例,またそれに対し血管内治療によって血管閉塞を行った症例は報告が少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.
X-1年8月,下血を主訴に受診し大腸内視鏡検査を施行したところ,吻合部付近に拡張した静脈を認め,一部から噴出性の出血をきたしておりクリップ止血術を施行した.X年1月,X年2月にも同様の症状で受診し,前回クリップを置いた近傍の拡張静脈に対しクリップ止血術を施行した.X年2月の入院時には,3回目の症状出現のため異なる治療法が必要と考えられ,外科的吻合部切除を試みる前に血管内治療による止血術が提案された.
大腿動脈から穿刺し,SMA,IMAからそれぞれ門脈造影を行い観察したところ,横行結腸吻合部において静脈血が左右から合流しうっ滞・静脈瘤を形成していた.静脈瘤に対して経門脈的にアプローチし,責任病変を栄養する血管の起始部からオルダミンを使用した硬化療法を行った.静脈瘤の消退を確認し,手技を終了した.
処置後4日目に肝胆道系酵素・直接型優位のビリルビン上昇を認め,血管内治療に伴う胆道損傷を疑われたが保存的加療で軽快し,症状再燃なく処置後16日目に退院した.処置から2か月,症状の再燃を認めていない.
門脈圧亢進症患者において,消化管癌術後に吻合部近傍で異所性静脈瘤を認める場合はあるが,本症例では肝疾患の背景などがなかったため,下血症状の原因解明と対処法に苦慮した.大腸癌術後の繰り返す下血に対する治療に関し,吻合部近傍に拡張静脈瘤をきたした症例,またそれに対し血管内治療によって血管閉塞を行った症例は報告が少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.