Presentation Information
[P9-2]S状結腸癌肝転移切除術後、術後補助化学療法のUFT+LV療法にて重症肝障害を発症した一例
冨井 知春, 石原 加葉, 藤田 孝尚, 伊藤 その, 大島 令子 (東京都立大塚病院消化器外科)
【はじめに】
大腸癌肝転移治癒切除後の術後補助化学療法については、手術単独と比較し術後補助化学療法としてUFT+LV療法を行うことで3年RFSが有意に良好であったという報告がある。大腸癌治療ガイドラインにおいても術後補助化学療法を行うことが弱く推奨されている。S状結腸癌肝転移切除術後、術後補助化学療法のUFT+LV療法にて重症肝障害を発症した症例を経験したので報告する。
【症例】
64歳、女性。主訴は体動困難、発熱、上腹部痛。S状結腸癌pT4a, pN1b, cM0, pStage IIIb に対して根治切除後、術後補助化学療法CAPOXを3コース施行、術後補助化学療法終了3ヶ月後に肝臓S4とS7の2箇所に15mm大の転移が出現した。2箇所の肝部分切除術を施行し、経過良好で術後8日目に退院した。術後18日目より補助療法として UFT+LV療法を開始した。1コース目のday14に外来受診した際はお元気であったが、day15より体調不良を自覚、day18に体動困難となり、day20に救急外来を受診した。採血でAST452U/L, ALT818U/Lと上昇、CTでは腹水、肝内門脈周囲の浮腫を認め、急性肝炎の診断で緊急入院となった。各種血液検査ではウイルスの関与も否定的であり、UFT+LVによる薬剤性肝障害が疑われ内服を中止した。入院1週間後に解熱し、全身状態や肝機能の改善がみられ、入院21日目に退院となった。術後補助化学療法は再開せず、半年経過するが再発は認めていない。
【考察】
UFT+LV療法による肝障害は、その6割が投与後2ヶ月以内に発症し、特に劇症例はほとんどがこの時期に発症したと報告されている。UFT+LV療法は以前より広く行われているレジメンであるが、稀に重症肝障害を発症することがある。特に開始後2ヶ月以内は自覚症状の出現の有無や血液検査の確認が必要である。
大腸癌肝転移治癒切除後の術後補助化学療法については、手術単独と比較し術後補助化学療法としてUFT+LV療法を行うことで3年RFSが有意に良好であったという報告がある。大腸癌治療ガイドラインにおいても術後補助化学療法を行うことが弱く推奨されている。S状結腸癌肝転移切除術後、術後補助化学療法のUFT+LV療法にて重症肝障害を発症した症例を経験したので報告する。
【症例】
64歳、女性。主訴は体動困難、発熱、上腹部痛。S状結腸癌pT4a, pN1b, cM0, pStage IIIb に対して根治切除後、術後補助化学療法CAPOXを3コース施行、術後補助化学療法終了3ヶ月後に肝臓S4とS7の2箇所に15mm大の転移が出現した。2箇所の肝部分切除術を施行し、経過良好で術後8日目に退院した。術後18日目より補助療法として UFT+LV療法を開始した。1コース目のday14に外来受診した際はお元気であったが、day15より体調不良を自覚、day18に体動困難となり、day20に救急外来を受診した。採血でAST452U/L, ALT818U/Lと上昇、CTでは腹水、肝内門脈周囲の浮腫を認め、急性肝炎の診断で緊急入院となった。各種血液検査ではウイルスの関与も否定的であり、UFT+LVによる薬剤性肝障害が疑われ内服を中止した。入院1週間後に解熱し、全身状態や肝機能の改善がみられ、入院21日目に退院となった。術後補助化学療法は再開せず、半年経過するが再発は認めていない。
【考察】
UFT+LV療法による肝障害は、その6割が投与後2ヶ月以内に発症し、特に劇症例はほとんどがこの時期に発症したと報告されている。UFT+LV療法は以前より広く行われているレジメンであるが、稀に重症肝障害を発症することがある。特に開始後2ヶ月以内は自覚症状の出現の有無や血液検査の確認が必要である。