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[P9-3]ストマ造設術後に劇症型のクロストリジウム・ディフィシル腸炎で死亡した1例
池田 純, 川島 市郎, 北角 泰人, 谷岡 ヤスヒコ (京都民医連中央病院)
症例は58歳男性。思春期より精神科通院歴があり、統合失調感情障害と、約11年前の右被殻出血のため左上下肢麻痺を有し、10年前より精神科病院入院中であった。約7ヶ月前に高度便秘症と急性腎盂腎炎で当院内科入院し各種便秘薬と抗生剤加療で退院されたが、4ヶ月前にも再び高度便秘症で当院で入院加療され、ほぼ毎日の浣腸と摘便が必要な状態であった。ストマ造設によりQOL改善が見込めると判断し、シッツマークテストでS状結腸での滞留を確認後、腹腔鏡下横行結腸ストマ造設術を施行した。術後やや疼痛の訴えが強かったが食事摂取は良好であった。6日目に急な食欲低下、7日目より高熱・血圧低下があり、炎症反応高値を認めた。8日目のCT検査にて肺炎による敗血症性ショックを疑った。抗生剤投与と輸液で安定化したが、11日目よりストマ肛門側の腸管脱出がみられるようになり適宜用手還納を要した。炎症反応高値は持続し14日目に呼吸苦が出現し胸水貯留によるものが疑われた。尿量低下、浮腫もみられるようになり、環器内科対診するも心不全は否定的であった。15日目にCDトキシンを検査したところ陽性であった。劇症型のクロストリジウム・ディフィシル(CD)腸炎と診断しバンコマイシン・アネメトロ投与を行ったが奏功せず、多臓器不全が進行し術後18日目に死亡した。後方視的にみると、8日目のCTではストマ口側の右側結腸の拡張と壁肥厚があり、この時点でCD腸炎を発症していた可能性があるが、担当医は疑うことができなかった。またCD腸炎の診断後も、ストマ肛門側の腸管に内服バンコマイシンが届かず治療が奏効しなかった可能性もある。文献的検索を加え報告する。