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[PD1-2]Is a physiological investigation of the anorectum useful for predicting the severity of fecal incontinence?

Masayuki Ishii, 野明 俊裕, 石橋 英樹, 鈴木 麻未, 榊原 優香, 長田 和義, 白水 良征, 荒木 靖三 (Kurume Coloproctology Center)
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便失禁の原因は様々であり、直腸肛門機能の様々な因子が関与して発症する病態である。直腸肛門生理機能検査はどのような因子が便失禁を起こしているかを調べるために有用であるとされている。便失禁の重症度を直腸肛門生理機能検査を用いて推測することが可能であるかを検討したので報告する。
対象は2023年3月から2024年12月の間に当院へ便失禁を主訴に来院した104例。初診時に行われたマノメトリーを中心とした直腸肛門機能検査(機能的肛門管長、最大静止圧、最大随意収縮圧、直腸肛門抑制反射、便意発現最少量、奇異性収縮の有無)を用いて、同時に行われたCleveland Clinic Florida Fecal Incontinence スコア(CCFIS) の点数を予測できるかを多重回帰分析で検討を行った。
男性は44名、女性60名。年齢(中央値)は73歳(11~89)。CCFIS(中央値)は10点(0~20)。多重回帰分析を用いた解析では、直腸肛門機能検査結果がCCFISの値に影響を与えている可能性は低いことがわかった(寄与率(R2値)は0.19)。直腸肛門機能検査の6つの項目の中で一番CCFISの値に影響を与えている因子は直腸肛門抑制反射の有無であった。
直腸肛門機能検査の結果と実際のCCFISの値との関連は少なかった。CCFISで示される便失禁の重症度を直腸肛門機能検査から推察することは難しいと思われる。