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[PD2-1]Outcome of manual anal dilatation for anal fissures
Gentaro Ishiyama, 秋月 恵美, 鈴木 崇史, 佐藤 綾, 西尾 昭彦, 石山 勇司 (Sapporo Ishiyama Hospital)
【はじめに】用手肛門拡張術(Anal Dilation:AD)は非観血的治療法であり、外来で簡単に施行可能であることから、当院では難治性裂肛治療の第一選択としている。今回、慢性裂肛に対するADの当院における治療成績について報告する。【対象と方法】2021年1月~2023年3月までの期間に当院でADを施行した慢性裂肛症例の97例を対象とした。手術適応は、保存的治療で効果を示さない肛門狭窄を伴う慢性裂肛とした。ただし、示指の挿入が困難であるような肛門上皮レベルの高度な狭窄を伴う症例は適応から外した。麻酔は全例で仙骨硬膜外麻酔を用いた。ADは左右の示指を肛門内に挿入し、線維化をおこした内括約筋の筋繊維を愛護的にストレッチするようにして拡張する方法で行った。【結果】97例の平均年齢は45.8歳(22-80)、男女比48:49で、ほぼ男女同数であった。病脳期間中央値は24ヶ月(1~240ヶ月)であった。裂肛部位は後方39例(40.2%)、前方15例(15.5%)、前後14例(14.4%)、側方3例(3.1%)、多発26例(26.8%)であった。全体の約半数である49例(50.5%)で皮垂や肛門ポリープなどの付随病変の切除を併施した。AD施行前後の肛門径の平均は、術前18.1±3.39mm、術後25.7±2.79mmと有意な改善を認めた。肛門管最大静止圧は術前72.7±18.6mmHgであったが、術後64.0±19.7と有意に改善した。術直後に施行したラジアル型肛門エコー検査では71例(93.4%)に異常所見を認めなかった。5例(6.6%)でわずかにlow echo部分を認めたが、肉眼的・臨床的に血種の形成や括約筋の断裂などの合併症は認めず、便失禁の症状を訴えた症例は無かった。術前の症状が軽快~消失を再発なしと定義した場合、Kaplan-Meier法を用いた累積無再発率は術後1年経過時点で83.7%であり(観察期間中央値6ヶ月)、比較的良好な結果が得られた。【結語】慢性裂肛に対するADは簡便で安全な治療法であり、治療成績も比較的良好と考えられた。