Presentation Information
[PD2-2]Treatment for anal fissure in our hospital -Outcomes of day surgery for anal fissure-
Ken Tarumi1, 吉田 幸平2 (1.Tarumi Coloroctology Clinic, 2.新宿おしりのクリニック)
【はじめに】裂肛の病態は肛門上皮の裂創なので、治療の基本は原因となっている便秘下痢の改善と外用薬による保存的治療である。しかし保存的治療では効果がなかったり頻回に繰り返したりする場合は手術適応となる。裂肛に対する手術の目的は肛門の過緊張状態の改善や狭窄を解除することである。当施設は無床クリニックであるため裂肛に対する手術は侵襲の少ない用手的に行う肛門拡張術(anal dilation: AD)を第一選択としてきた。ADは急性期の裂肛の過緊張にも非常に有効である。しかしADでは症状が改善しなかったり再発したりする症例も多く、そのような症例には皮膚弁移動術(sliding skin graft: SSG)を行っている。また狭窄の原因が肛門上皮の瘢痕だったり狭窄が強度な症例は最初からSSGを選択している。今回ADを行った症例とSSGを行った症例の成績を比較検討し報告する。
【対象と方法】2019年4月~2024年3月の5年間に裂肛に対する手術を施行した症例は296例だった。そのうちADを選択した症例(AD群)は198例、SSGを選択した症例(SSG群)は98例だった。なお、ADは術式の標準化のためヘリオサージカル社の肛門ブジーを用いて内径のサイズを2倍にするのを目処にした。
【結果】術後成績であるがAD群では完治した症例(術後に症状が完全に消失し外用薬を使用していない症例)は121例(有効率61.1%)だった。残りの効果のなかった77例(38.9%)のうち38例はそのまま外用薬などの保存的治療で経過をみており、22例は再度ADを施行し、残りの17例はSSGを施行した。AD群では術後の合併症はなかった。SSG群では完治した症例は97例(有効率99.0%)であり、1例のみ排便痛が継続しており外用薬で経過観察となっている。術後の合併症であるが術当日の創辺縁からの出血が1例(1.0%)、soilingを3例(3.1%)認めたが、排便のコントロールで症状は改善した。
【結語】保存的治療で改善しない裂肛に対する外科的治療としてADは侵襲が少なく術後合併症もないため、第一選択として適している術式と思われた。ただADの有効率は低いので症例によっては効果の確実なSSGを選択すべきと思われた。
【対象と方法】2019年4月~2024年3月の5年間に裂肛に対する手術を施行した症例は296例だった。そのうちADを選択した症例(AD群)は198例、SSGを選択した症例(SSG群)は98例だった。なお、ADは術式の標準化のためヘリオサージカル社の肛門ブジーを用いて内径のサイズを2倍にするのを目処にした。
【結果】術後成績であるがAD群では完治した症例(術後に症状が完全に消失し外用薬を使用していない症例)は121例(有効率61.1%)だった。残りの効果のなかった77例(38.9%)のうち38例はそのまま外用薬などの保存的治療で経過をみており、22例は再度ADを施行し、残りの17例はSSGを施行した。AD群では術後の合併症はなかった。SSG群では完治した症例は97例(有効率99.0%)であり、1例のみ排便痛が継続しており外用薬で経過観察となっている。術後の合併症であるが術当日の創辺縁からの出血が1例(1.0%)、soilingを3例(3.1%)認めたが、排便のコントロールで症状は改善した。
【結語】保存的治療で改善しない裂肛に対する外科的治療としてADは侵襲が少なく術後合併症もないため、第一選択として適している術式と思われた。ただADの有効率は低いので症例によっては効果の確実なSSGを選択すべきと思われた。