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[PD2-5]Comprehensive Strategies for Anal Fissure Treatment at Tokorozawa Proctology Hospital

Akase Takayoshi, 栗原 浩幸, 藤井 頼孝, 森山 穂高, 塚原 勇, 金井 忠男 (Tokorozawa Proctology Hospital)
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【はじめに】裂肛治療の原則は薬物療法による保存的治療であるが、狭窄、慢性裂肛の三徴(肛門潰瘍、肛門ポリープ、skin tag)を有するなどの保存的治療では軽快しない症例に対して侵襲的治療が行われる。当院の手術療法は従来のSSG法(縦切り横縫い+減張切開)、小さいSSG法(内括約筋切開部位を小皮弁で覆う)とPIS(後方での内括約筋切開)を行っている。内痔核の脱肛による随伴裂肛は痔核手術を行う。
【対象】2019年1月~2024年11月の間に当院で治療した裂肛症例9,208例(男性4,574例、女性4,634例)を対象とし、治療法の選択と成績を包括的に検討した。
【治療方針】当院の裂肛治療に対する保存的治療は痔疾軟膏、緩下剤、鎮痛薬の投与で、軽度狭窄例に対しては、用手拡張や肛門ブジーによる肛門拡張術を施行する。手術療法は強度の肛門狭窄や排便後痛が数時間続くなど生活に支障をきたす症例などに対して行う。手術術式は小さいSSG法、SSG法、PISから症例に応じ選択する。小さいSSG法は、SSG法の横方向の縫合線が長くなることや縫合哆開が起きやすいことを避けるよう考慮した術式である。PISは側方のLISでなく、肛門変形や失禁を起こしにくい後方で切開する術式である。術式の適応は、非上皮性で狭窄が比較的軽度な場合(軽度狭窄例)にはPIS、慢性裂肛の三徴のある場合や上皮性の狭窄があり示指の挿入は可能な場合(中等度狭窄例)には小さいSSG法、小指が入らないような場合(高度狭窄例)には従来のSSG法とした。手術時の目標肛門径は直径約3.3cmもしくは2横指とした。
【治療成績】2019年1月~2024年11月の間に保存的治療が8,892例(96.6%)、肛門拡張術が92例(1.0%)、手術療法(内痔核の脱肛に伴う随伴裂肛は除く)が224例(2.4%)であった。手術は小さいSSG法200例、PIS19例、SSG法5例であった。術後合併症は小さいSSG法で再燃1例だった。PIS、従来のSSGでは明らかな横方向の瘢痕は残るが合併症を認めなかった。
【まとめ】裂肛治療の包括的アプローチについて述べた。裂肛治療を行う際は、裂肛の病態に応じた処置が必要と考える。