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[PD2-6]Indication and choice of surgical treatment for chronic anal fissure and anal stricture

Daisuke Okada, 佐原 力三郎 (Proctology Center, Makita General Hospital)
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【目的】裂肛の治療は排便習慣の改善や局所療法を主とした保存的治療が優先されるが状況により外科治療を要する症例がある。当院での裂肛に対する外科治療の適応と術式選択を示し、手術治療成績について検討する。
【手術適応】器質的狭窄や脱出する肛門ポリープを伴う症例、保存的治療の無効例、裂肛痔瘻合併例を手術適応としている。
【術式選択】狭窄の適切な解除、肛門管内の凹凸の平坦化を目標とする。まず狭窄の有無とその程度を正確に把握する。狭窄のない症例は裂肛切除術、内括約筋レベルの狭窄例には用手拡張術(MD)+裂肛切除術を行うが、多くの裂肛症例では内括約筋硬化を伴うため、硬化の程度に合わせなるべく用手拡張術を併施する。また肛門上皮レベルでの狭窄例、高度狭窄例では皮膚弁移動術(SSG)を行う。必要に応じて複数個所で各術式を組み合わせる。目安として2横指が楽に通る程度まで拡張を行い、過度の拡張を行わないようにする。
【対象】2020年4月から2024年9月までに当院で施行した裂肛・肛門狭窄に対する初回手術例のうち、4ヵ月以上経過観察しえた症例(4ヵ月未満の治癒例を含む)154例を対象とし、診療録を元に後ろ向きに検討した。なお痔核手術等の術後狭窄症例、クローン病合併例は除外した。
【結果1】手術時年齢は45.7歳、男女比は91:63、平均観察期間は107.7日であった。術式の内訳は裂肛切除術単独35例(22.7%)、MD(±裂肛切除術)100例(64.9%)、SSG19例(12.3%)であった。
【結果2】治癒期間中央値は裂肛切除術単独68日、MD(±裂肛切除術)50日、SSG54日であった。また治癒遷延(治癒日数術後120日以上)例+再発例は裂肛切除術単独8/35例(22.9%)、MD(±裂肛切除術)8/100例(8.0%)、SSG2/19例(10.5%)であり裂肛切除術単独で治癒期間が長く、治癒遷延再発例が多い傾向だった。再手術は裂肛切除術単独、MD(±裂肛切除術)に各1例ずつ認めた。incontinenceを訴える症例は裂肛切除術単独で1例あったが保存的に軽快した。
【結語】慢性裂肛・肛門狭窄に対する外科治療の成績は概ね良好であるが、裂肛切除術単独の際にも何らかの追加手技の併用が望ましいと思われる。