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[PD3-2]Diagnostic Process and Applied Criteria for Crohn’s Disease in Patients Presenting with Perianal Lesions in Japan

Naoto Saigusa1,2, 三枝 純一2 (1.Masuko Memorial Hospital, 2.三枝クリニック・肛門科)
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[背景・目的] 肛門科では初発PLからCDを疑うことは稀でないが,以前に我々が報告したように特に腹部症状が未発現の場合は腸管病変が早期段階であることが多く,本邦の診断基準における主要所見A(縦走潰瘍;LU)や主要所見B(敷石所見;CSA)が発見されることは比較的少ないため,CDの確定診断に至らしむのは必ずしも容易でない.このため,主要所見C(非乾酪性類上皮細胞肉芽腫;NCEG)の発見が確定診断に重要である.[方法] 我々が経験したPL発症CD確定診断100名の診断パターンとNCEG検出について検討した.[結果] 患者の男女比は81:19,PL発症時の年齢中央値は20.5歳,年齢層別では15-19歳が全体の35%を占めた.86名はCD診断前に麻酔下肛門検索(EUA)を受けており,PLとしては痔瘻が96.3%と最頻であった.PLからCDを疑った具体的な理由は,外科処置後の経過不良(難治性痔瘻)が38%,CD様の裂肛/潰瘍が20%,複雑性痔瘻が17%,腸管症状の出現(下痢や腹痛)が15%であった.PL発症からCD確定診断までの平均期間は9.6(0.2-511.6)ヶ月であった.診断基準で見ると,主要所見A/Bで確定診断されたのは71名にとどまった一方で,35名の患者が主要所見Cと副所見a(消化管の広範な不整型~円形潰瘍またはアフタ)またはb(特徴的な肛門直腸病変)により診断された(11名は主要所見A/Bと重複).また,4名は消化管にまったく病変がなく,NCEGとPLのみに基づいてCD診断されていた.主要所見C+副所見a /Bの35名におけるNCEGの検出は,消化管内視鏡下生検が22名(62.9%)、痔瘻かedematous/ulcerated pileの切除標本が14名(40.0%)であった.NCEGの検出率は,消化管の内視鏡下生検は計74名で行われていたので22/74=29.7%,一方PLの外科的切除は26例にて14/26=53.8%であり,両者を比較すると,後者で有意にNCEGの検出率が高かった(p=0.0342).[結論] PL初発例では全消化管の検索に加え,PLの一部を外科的切除し大きな検体を得ることでNCEGの検出率が向上し,CD確定診断に直接的に寄与すると思われた.