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[PD4-7]The feasibility and short-term clinical outcomes of laparoscopic surgery for complicated Crohn’s disease
Norifumi Hattori, 中山 吾郎, 梅田 晋一, 小倉 淳司, 村田 悠記, 岸田 貴喜, 中西 香企, 清水 大, 田中 千恵, 神田 光郎 (Department of Surgery, Nagoya University Hospital)
【背景】クローン病(CD)に対する腹腔鏡手術は,短期治療成績や整容性の点で通常の開腹術より優れている可能性があるが,瘻孔や膿瘍の合併例,再手術例,癌合併例などでは,適応を慎重に考慮するべきである.【目的】瘻孔病変を有するCDに対する腹腔鏡手術の治療成績について検討する.【対象と方法】2013年1月から2024年9月の間に当院で瘻孔病変を有するCDに対して腹腔鏡手術が施行された105例を対象として,CDに対する腸管切除歴の有無によって初回手術群(n=60)と再手術群(n=45)の2群に分け,臨床学的背景,手術術式,短期治療成績について後方視的に比較検討した.【結果】105症例中136の瘻孔病変を認め、腸管腸管瘻:60%,腸管皮膚瘻:12%,腸管後腹膜瘻:9.6%,腸管膀胱瘻:8.8%であった.複数の瘻孔病変を有する症例は,再手術群で有意に多く(47% vs 71% p = 0.01),膿瘍形成併存症例も再手術群で有意に多い傾向にあった(30% vs 49% p = 0.04).再手術群における既往手術回数は,1回:58%,2回:22%,3回以上:20%であった.主な施行術式は初回手術群では回盲部切除(28%),小腸切除術(21%),再手術群においては小腸切除術(20%),吻合部切除術(16%)であった.手術時間に有意な差はなく(255分 vs 288分 p = 0.17),出血量は再手術群で有意に多く(106g vs 160g p = 0.02),開腹移行率は再手術群で有意に高い傾向にあった(6.9% vs 29.6% p < 0.01).術後合併症(Clavien-Dindo分類 Grade 3以上)は,初回手術群:13%,再手術群:36%に発生し(p < 0.01),合併症発生に関連する危険因子の検討では,膿瘍形成例 (OR : 5.36,95%CI : 1.83-17.47,p < 0.01)、出血量400ml以上 (OR : 4.92,95%CI : 1.40-18.49,p = 0.01)が独立した危険因子であった.【結語】瘻孔病変を有するCDに対する腹腔鏡手術において、再手術例は初回手術例と比較し,有意に出血量の増加を認め,CD Grade 3以上の合併症発生率も増加する傾向にあった.膿瘍形成が併存し複雑多発瘻孔を有する再手術症例は高難度手術であり、術前の十分なドレナージと,腹腔鏡と開腹の両操作を併用し術中汚染と出血量をコントロールした手術を行うことが重要である.
