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[PD5-2]Investigation of Endoscopic Treatment for Neoplastic Lesions Arising from Ulcerative Colitis-Affected Mucosa (Including Prognosis)

Yoriaki Komeda, 吉田 早希, 河野 匡志, 工藤 正俊 (Kindai University, Faculty of Medicine, Department of Gastroenterology and Hepatology)
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【背景】潰瘍性大腸炎UCで長期罹患例において潰瘍性大腸炎関連腫瘍UCANが問題となる。当院で経験したUC罹患粘膜に発生した腫瘍に対する内視鏡内視鏡治療例について予後も含めて検討した。
【対象】2016年4月から2024年4月までの検討期間として内視鏡治療を受けた164症例を対象とした。当院で治療した症例を後向きに検討した。内視鏡治療ボーダーライン病変では、内視鏡的粘膜下層剥離術ESDを実施するが、病変境界がクリアで、EUSで深達度診断を行い粘膜内病変までで、さらに術前の病変周囲の4点生検でdysplasiaがnegativeな症例のみに実施している。
【結果】ESDは16例に実施され治療成績は一括切除率94.4%、R0切除率85.7%であった。偶発症は穿孔1例あり緊急手術を実施した。ESD以外の残りの症例はEMR、CSPを含めたポリペクトミーを実施した。最終病理結果の内訳はUCAN 0例、Sporadic neoplasia(TA 78/SSL32)、炎症性ポリープ16、過形成性ポリープ22例であった。ESDを受けた16例の病理学的診断は潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UCAN)が5例(high grade dysplasia(HGD) 4例、low grade dysplasia(LGD) 1例)、Sporadic neoplasia 10例、炎症性ポリープ1例であった。
術前の生検診断・深達度診断が困難で、内視鏡治療後に確定診断される症例も多かった。
治療後にUCANと診断された症例のうち3例に追加手術を行った。1例は深部断端陽性例の術前EUS深達度診断の困難症例と、もう2例はESD切除後に多部位に異時多発のdysplasiaがみられたため追加の大腸全摘術を受けた。これらの症例はその後のフォローでいずれも局所再発・遠隔転移は認めていない。
【結語】UC罹患粘膜に発生した腫瘍に対するESDを含めた内視鏡治療は腫瘍生検という意味で許容されるものと考えられた。内視鏡治療されたSporadic neoplasia群では全例が経過観察可能であり、いずれも局所再発は認めなかった。UCAN群では、深達度診断困難例があり注意を要する。また、HGD症例では術後にdysplasiaの異時多発例が多くみられ外科手術となっていた。