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[PD5-3]Characteristics of ulcerative colitis-associated neoplasm in surgical specimens

Takahide Shinagawa, 小松 更一, 岡田 聡, 白鳥 広志, 舘川 裕一, 原田 有三, 永井 雄三, 横山 雄一郎, 江本 成伸, 室野 浩司, 佐々木 和人, 野澤 宏彰, 石原 聡一郎 (The University of Tokyo, Department of Surgical Oncology)
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【背景・目的】潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UC associated neoplasm: UCAN)はときに内視鏡的に視認困難で、多発することもあり、術前未指摘の病変が術後診断されることも少なくない。そこで今回、手術治療を行ったUCANの手術検体からその臨床病理学的特徴を明らかにすることを目的として症例の解析を行った。
【対象・方法】2010〜2025年2月当科で手術したUCAN症例64例で確認された126病変について、術前診断された病変(術前病変)と術前未指摘で手術検体にて術後診断された病変(術後病変)に注目し、その臨床病理学的特徴を後ろ向きに解析した。
【結果】全64症例の内訳は男性43例(67.2%)、手術時年齢中央値51歳(30-83)、罹病期間中央値16.5年(0-54)、全大腸炎型56例(87.5%)だった。初回術式は大腸全摘術58例(90.6%)(うちIPAA46例、TPC12例)、その他6例(9.4%)で、58例(90.6%)が低侵襲手術(腹腔鏡下44例、ロボット支援下14例)で行われた。手術検体にて31例(48.4%)で2か所以上の多発病変を認め、21例(32.8%)では術前未指摘の病変を認めた。計126病変のうち、術前病変は91病変(72.2%)、術後病変は35病変(27.8%)だった。術前91病変中、表在型(0型)は70病変(76.9%)で、そのうち11病変(15.7%)はMP以深の進行病変であった。病変部位は術前病変で左側大腸に多く(79病変(86.8%)対22病変(62.9%):p=0.005)、術後病変は右側にも多く認めた。術後病変はdysplasiaが多く(35病変(38.5%)対29病変(82.9%):p<0.001)、その他は深達度Tis:4病変、T2:1病変、T3:1病変だった。一方術前病変ではdysplasiaの他はTis/T1:24病変、T2:7病変、T3:19病変、T4a:6病変であった。
【結語】UCANに対する初回手術は多くが大腸全摘術であり、約1/3の症例で術前未指摘含む多発病変を認めた。未指摘病変の多くはdysplasiaで右側大腸にも少なくない。また術前に表在型と診断された病変でも進行病変を認めることがあり注意を要する。