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[PD5-4]Prognostic impact of preoperative T stage in ulcerative colitis associated cancer patients

Yusuke Mizuuchi1, 永吉 絹子1, 中村 雅史1, 野口 竜剛2, 杉原 健一3, 味岡 洋一4, 石原 聡一郎2 (1.Department of Surgery and Oncology, Kyushu University, 2.東京大学腫瘍外科, 3.社団光仁会第一病院, 4.新潟大学病理診断科)
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背景:潰瘍性大腸炎は慢性の原因不明の炎症性腸疾患で、長期にわたる炎症により散発性結腸直腸癌と比較して予後が悪い潰瘍性大腸炎関連大腸癌(UCAC)の原因となる。画像機器の進歩により大腸癌の術前診断の正診率は上昇しているがUCACでは随伴する炎症によって潰瘍や壁肥厚、リンパ節腫大などが混在しており、散発性大腸癌と比較して正確な術前診断が困難である。癌診療において術前検査によるステージは薬物療法や放射線療法、手術療法などの治療方針の決定に必須である。UCACにおけるcT分類とリンパ節郭清度やcT分類と予後との関係に関してはまだ明らかではない。
方法:大腸癌研究会のプロジェクト研究における根治手術を施行したUCAC患者646人を対象として、癌特異的生存及び無再発生存を解析した。pTステージごとにcTステージによって過小評価(pT≥cT)、同等評価(pT=cT)、過大評価(pT<cT)の3群に分類して予後の解析を行った。
結果:pT1 186例、pT2 126例、pT3 256例、pT4a 65例、pT4b 13例であった。pT1症例では術前検査との違いはCSS、RFSにはほとんど影響がなかった(P=0.32、P=0.42)。pT2症例では同等評価と比較して過小評価、過大評価で予後不良であった(P=0.01、P<0.01)。pT3、pT4aでは過大評価で同等評価、過小評価と比較して予後が悪かった(pT3: P=0.07、P=0.02、pT4a: P=0.05、P<0.01)。pT4b症例では適正評価と過小評価では明らかな予後の違いは認めなかった(P=0.44、P=0.72)。
考察:本研究においては過大評価症例ではpT2, pT3, pT4aで予後不良である。その理由としては同じpTステージでも程度には差があり、cT分類で過大評価している症例では腫瘍がよりMassiveに浸潤している可能性があるのではないかと考えられた。また、リンパ節郭清範囲は術前診断で決定しT1N0や高度異形成症例などにはD2郭清など縮小郭清が許容されている。pT2症例では過小評価群が予後不良であり、結果的にリンパ節郭清度が十分でない可能性が考えられた。