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[PD6-5]Reassessment of Lateral Lymph Node Dissection Criteria with the Introduction of Neoadjuvant Therapy

Kazuki Otani, 塚田 祐一郎, 佐々木 将磨, 山東 雅紀, 長谷川 寛, 池田 公治, 西澤 祐吏, 伊藤 雅昭 (Colorectal Surgery, National Cancer Center Hospital East)
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【背景】本邦のガイドラインでは,腫瘍下縁が腹膜反転部以下のcT3以深の直腸癌を対象とした側方リンパ節郭清(LLND)の実施が推奨されているが,この対象の中には病理学的に転移陰性である症例も多く含まれる.また,近年は進行直腸癌に対する術前治療の機会が増加しており,術前治療後の予防的側方郭清の適応を再評価する必要性が生じている.本研究では,術前治療の導入が側方郭清の適応および治療成績に与える影響を検討した.
【方法】本研究は単施設後ろ向き観察研究であり,2016年1月から2022年10月までに当院でLLNDを伴う根治目的の切除が施行された原発性直腸腺癌症例を対象とした.術前治療の有無および種類に基づき,以下の3群に分類:術前治療なし(Upfront)群,Total neoadjuvant therapy症例を含む術前放射線化学療法施行(CRT)群,術前化学療法施行(NAC)群.スライス厚5mm以下のMRIで側方リンパ節(LLN)の最大短径およびMalignant feature(MF:辺縁不整,内部信号不均一)の有無を評価し,病理学的なLLN転移(pLLN)と関連づけて分析した.最大短径の至適カットオフ値はYouden indexで算出した.
【結果】対象症例は385例であり,Upfront群175例,CRT群142例,NAC群68例であった.両側LLNDは365例(94.8%),片側LLNDは20例(5.2%)に施行された.手術前MRI(術前治療群では治療施行後)でのLLNの最大短径5mm以上を基準とした場合,全群でYouden indexが最大となり,適応基準として妥当と考えられた.この基準を用いると,LLND適応症例はUpfront群で47%,CRT群で24%,NAC群で37%に減少し,LLNDを省略した症例のpLLN陽性例は0.8%(2/242例)であった.一方,治療後も短径5mm以上のLLNが残存する症例では,CRT群53%,NAC群56%がpLLN陽性だった.また,片側のLLNが短径5mm以上かつ対側が短径5mm未満の症例で,対側のpLLN陽性例は121例中3例(2.5%)のみであり,短径5mm未満側の郭清省略が可能と考えられた.
【結語】手術先行群・術前治療群ともに、手術前MRIでLLNの最大短径が5mm以上である症例に対して,同側のLLNDを施行することが適切である.