Presentation Information
[PD7-1]Treatment policy and outcomes for stage IV colorectal cancer at our hospital
Masayasu Kawasaki, 魚住 のぞみ, 前田 詠理, 山本 堪介, 奥村 哲, 福田 進太郎, 土橋 洋史, 小川 雅生, 亀山 雅男 (Bell Land General Hospital, Department of Surgery)
背景:StageⅣ大腸癌は原発巣・転移巣の状況が多様であり、画一的な治療指針設定は困難である。当科ではR0切除を目指すなか、R2であっても原則原発巣は切除する方針とし、以下の適応に則って治療に臨んでいる。①P1,肝辺縁のH1,216リンパ節: 同時性切除でR0、②PUL+,深部のH1とH2以上: 異時性切除でR0、③遠隔転移巣切除不能:原発巣切除のみR2、④原発巣切除不能:姑息手術。
目的:当科のStageⅣ大腸癌治療方針の妥当性を検証する。
対象と方法:2011-2020 StageⅣ大腸癌281例を①同時性R0切除28例、②異時性R0切除20例、③原発巣切除(R2転移巣非切除)189例、④原発巣非切除44例に分類。1.各群の概要と予後、2.R0切除例①,②の術後再発リスク因子、3.原発巣切除例③の予後不良因子を検討した。
結果:1.5年全生存率は各群①36.1%②64.9%③17%④0% (p=5×10-12)で、4群間それぞれに有意差を認めた。
2.R0症例①vs②の生存比較では異時性切除が良好で(p=0.026)、同時切除の予後不良因子は「腹膜播種あり」,「転移臓器数2個」であった。肝転移のみの比較では①vs②の全生存率で有意差はなかった。R0術後再発率は①68%,②50%で、①②をまとめた多変量解析では「腹膜播種あり」が再発リスク因子(Odds16.6)と示された。
3.原発巣のみ切除③の生存における各種項目の多変量解析では予後不良因子として「H3」(HR3.2)、「術後合併症CDⅢ以上」(HR2.2)、「薬物療法施行なし」(HR4.5)が示され、これらを有する症例の生存率は、原発巣非切除例④と差は認めなかった。
考察:R0切除の有用性が再認識され、病変Gradeや部位で適切な基準を設定すれば肝切除は同時性・異時性いずれも妥当であるが、腹膜播種病変を認めた症例は再発を念頭に術後治療や観察を強化する必要があるといえる。一方、原発巣切除には一定の予後改善効果が期待されるが、手術の際はシンプルな術式にとどめ合併症を最小限にする意識が求められる。そしてH3や薬物療法が入らない症例に原発巣切除の効果は少なく、これらには高度の狭窄や下血といった強い症状を伴う症例のみに限定して適応するべきである。
目的:当科のStageⅣ大腸癌治療方針の妥当性を検証する。
対象と方法:2011-2020 StageⅣ大腸癌281例を①同時性R0切除28例、②異時性R0切除20例、③原発巣切除(R2転移巣非切除)189例、④原発巣非切除44例に分類。1.各群の概要と予後、2.R0切除例①,②の術後再発リスク因子、3.原発巣切除例③の予後不良因子を検討した。
結果:1.5年全生存率は各群①36.1%②64.9%③17%④0% (p=5×10-12)で、4群間それぞれに有意差を認めた。
2.R0症例①vs②の生存比較では異時性切除が良好で(p=0.026)、同時切除の予後不良因子は「腹膜播種あり」,「転移臓器数2個」であった。肝転移のみの比較では①vs②の全生存率で有意差はなかった。R0術後再発率は①68%,②50%で、①②をまとめた多変量解析では「腹膜播種あり」が再発リスク因子(Odds16.6)と示された。
3.原発巣のみ切除③の生存における各種項目の多変量解析では予後不良因子として「H3」(HR3.2)、「術後合併症CDⅢ以上」(HR2.2)、「薬物療法施行なし」(HR4.5)が示され、これらを有する症例の生存率は、原発巣非切除例④と差は認めなかった。
考察:R0切除の有用性が再認識され、病変Gradeや部位で適切な基準を設定すれば肝切除は同時性・異時性いずれも妥当であるが、腹膜播種病変を認めた症例は再発を念頭に術後治療や観察を強化する必要があるといえる。一方、原発巣切除には一定の予後改善効果が期待されるが、手術の際はシンプルな術式にとどめ合併症を最小限にする意識が求められる。そしてH3や薬物療法が入らない症例に原発巣切除の効果は少なく、これらには高度の狭窄や下血といった強い症状を伴う症例のみに限定して適応するべきである。