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[PD7-5]Treatment for colorectal cancer patients with two metastatic sites

Hiroshi Nagata, 田藏 昴平, 加藤 岳晴, 髙見澤 康之, 森谷 弘乃介, 塚本 俊輔, 金光 幸秀 (Department of Colorectal Surgery, National Cancer Center Hospital)
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【背景】当院では、複数臓器転移を伴う大腸癌に対しても、外科切除・根治的放射線療法・アブレーション療法などを活用し、局所制御の達成に努めてきた。
【目的】2臓器転移を伴う大腸癌に対する当院での治療内容およびその成績を明らかにすること。
【方法】2017年から2021年に当院で治療された、2臓器転移を伴う大腸癌症例を後方視的に抽出し、その治療内容および成績を検討した。治療開始前に2臓器の転移が診断された症例を対象とし、Stage 1-3の術後再発例も含めた。2臓器転移ともに局所制御が達成された症例をCurB群、1臓器転移のみの局所制御にとどまった症例をCurC群、局所制御は達成できず全身化学療法で治療された症例をChemo群とした。
【結果】2臓器転移を伴う大腸癌 227例の中で、CurB群が45例(19.8%)、CurC群が18例(7.9%)、Chemo群が164例(72.2%)であった。CurB群およびCurC群の3年全生存割合はそれぞれ78.3%、69.7%でこの2群間に統計学的差はなく(p=0.930)、Chemo群の32.7%に比べていずれも有意に予後良好であった(p<0.001, p=0.012)。肝肺転移を伴う70例についてみると、CurB群が16例(22.9%)、CurC群が9例(12.9%)、Chemo群が45例(64.3%)であり、全生存割合においてChemo群に比べてCurB群(ハザード比 0.19, p=0.001)、CurC群(ハザード比 0.30; p=0.037)はそれぞれ有意に良好であった。年齢・性別・転移時期(同時性/異時性)・局所制御の達成状況(CurB/CurC/Chemo)・全身化学療法(有/無)を含む多変量解析において、CurB達成が有意な予後良好因子として認められた(ハザード比0.11, p=0.030)。
【結語】本研究では、2臓器転移を有する症例においても、局所制御の達成が予後の延長に寄与する可能性が改めて示された。また、1臓器の切除にとどまったとしても、化学療法のみより予後が改善する可能性も示唆され、遠隔転移/再発に対する切除可能性を積極的に検討すべきである。