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[PD9-7]Examinations and management for anastomotic bleeding after colorectal surgery

Hiroaki Nozawa, 江本 成伸, 佐々木 和人, 室野 浩司, 横山 雄一郎, 永井 雄三, 原田 有三, 品川 貴秀, 舘川 裕一, 岡田 聡, 白鳥 広志, 石原 聡一郎 (Department of Surgical Oncology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo)
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【背景】大腸切除術の術後合併症としての吻合部出血は既報で3-15%と決して少なくない。一方で40歳以上の悪性腫瘍に対する手術においては、術後の血栓予防のための抗血栓療法が間欠的空気圧迫法とともに推奨されている。加えて近年では抗血栓療法を術前から受けている患者も増加している。今回の大腸切除術後の吻合部出血の現状と治療について自施設症例を用いて検討した。【方法】当施設で2019年1月―2025年2月に腸管再建を伴う大腸切除術を行った症例を対象とした。複数箇所の吻合を行った症例と炎症性腸疾患は除外し、上流に人工肛門を造設した症例を含めた。吻合部出血はClavien-Dindo分類grade 2以上を後方視的にカウントした。患者の臨床病理学的因子(性別、疾患の部位、手術アプローチ、術前・術後の抗血栓療法など)や吻合法、吻合部出血に対する検査と所見、治療について解析した。【結果】対象となったのは1375例(男729,女646、平均年齢65.8歳)であり、右側結腸症例473例、左側結腸・直腸症例473例であった。grade 2以上の吻合部出血は計62例(4.5%;男40, 女22)にみられた。13例は術前に抗血栓療法、34例は術後に抗血栓療法を受けていた。緊急CTは、右側結腸の出血例24例中16例に行われ、左側結腸・直腸症例(11例/38例)より高頻度であった(p=0.003)。18例(64%)で有意なCT所見があり、腸管内高吸収像9例、活動性の血管外漏出像8例、吻合部周囲の腸管外高吸収像1例という内訳であった。緊急内視鏡はCTで腸管内出血を示唆された8例、および直腸前方切除術後2例ではCTなしで実施された。内視鏡を受けた全例で吻合部が出血源と診断され、8例がクリッピング、1例でトロンビン散布を受け、1例はすでに止血されているとの判断で経過観察となった。術当日のCTで吻合部付近に造影剤の血管外漏出がみられた1例では同日緊急で再吻合術を受けた。各治療後の再出血例はなかった。【結論】当施設での吻合部出血の頻度は既報と同程度であった。出血検索としては右側結腸症例では、より積極的に造影CT検査が行われていた。またCTでの有意な所見をもって緊急内視鏡の適応とすることで、良好なマネジメントができていると考えられた。