Presentation Information

[PD9-8]Simple and clinically applicable method for calculating optimal perioperative fluid volume for preventing paralytic ileus in minimally-invasive colorectal resection

Gakushi Kitamura, 木内 純, 有田 智洋, 清水 浩紀, 名西 健二, 倉島 研人, 井上 博之, 高畠 和也, 西別府 敬士, 久保 秀正, 今村 泰輔, 小菅 敏幸, 山本 有祐, 小西 博貴, 森村 玲, 藤原 斉, 塩崎 敦 (Kyoto Prefectural University of Medicine, Department of Digestive Surgery)
PDF DownloadDownload PDF
【はじめに】周術期の過剰輸液と術後合併症、麻痺性イレウスとの関連性や輸液制限による細胞性免疫の回復の早まりなどは以前より指摘されているものの、明確な輸液許容量の基準は示されていない。そこで臨床応用しやすい簡便な指摘輸液量算出法として「相対的輸液バランス(RIB)(mL/kg)」を定め、周術期輸液量の指標としての検討を加えた。
【目的】腹腔鏡下大腸切除術における周術期過剰輸液が術後合併症におよぼす影響について解析し、簡便な至適輸液量算出法(RIB)について検討する。
【対象と方法】当院で結腸および直腸癌に対し腹腔鏡下あるいはロボット支援腹腔鏡下に原発巣切除を施行した404例を後方視的に解析した。術中バランスは麻酔記録から正確に得られるため指標に取り入れた。術後当日のバランスは帰室時間や主治医の微調整などで正確な解析が困難であるため、1PODのバランスを指標に取り入れ、RIB=(術中バランス+1PODバランス)/術前体重とした。輸血症例や膠質液投与症例は解析から除外した。
【結果】1) 57例にClavian-Dindo II以上の術後合併症が発症した。合併症のうち、麻痺性イレウス(15例)がRIB高値と有意な関連(p<0.001)を示した。RIBのカットオフ値はROC解析より45.4mL/Kgとした。2) 術後イレウスの発症の関連因子として、RIB高値(OR;7.51 p=0.0032)と300分以上の手術時間、2PODの2.75Kg以上の体重増加、1PODの乏尿、3PODのCRPが10以上、があり、3PODのCRP高値とRIB高値が術後イレウスの独立したリスク因子であった。3) RIB高値の原因としての因子は、女性(p=0.03)、非肥満症例(P=0.003)、300分以上の手術時間(p<0.001)、1PODのAlb値3.0mg/dL以下(p<0.001)、1PODの乏尿(p=0.0019)があげられた。
【結語】腹腔鏡下大腸切除術において過剰輸液は術後イレウスのリスクで、術後1日目までに相対的輸液バランス(RIB)を45.4 mL/kg以下に抑えると、イレウス発症リスクを低下させる可能性がある。