Presentation Information
[R1-3]痔核の手術における針の工夫
谷村 修, 荒木 靖三, 別府 理智子, 平瀬 りさこ (福西会病院大腸肛門科)
肛門疾患の手術において困難さを感じる局面は多々あると思われるが、その一つに直腸-肛門管内における運針が挙げられる。運針の基本は持針器の軸と針の軸を直角となるよう把持固定し操作することが挙げられる。しかし実際の手術では持針器での操作だけでなく左手の誘導や助手の術野展開が必要になる。肛門外科手術の特徴として径25mm~30mmの肛門からの管腔内での運針操作(特に腸管長軸方向の運針や痔核の根部結紮、止血操作)が挙げられる。左手による組織の誘導や助手の術野展開も困難なことが多く、そのため持針器の針の把持は、運針しやすいように術者がその角度を調整する。そのため以下の弊害に遭遇する。①刺入した針を持針器が確実に把持できず、術者のベクトルに負け針の軌道が組織でぶれる。②肥厚した組織の場合、刺入後針先が目的の部位まで到達せず、再度針先を把持することができない、縫合糸を誘導できない。③目的の組織に意図する角度で正確に針先を刺入することができない。そのため我々は肛門疾患用の針を考案した。針は長径37㎜、釣り針状で針先に従って大きく弯曲する。(針の近位が弱弯3/8Rで遠位が強弯1/2Rのコンパウンド針)持針器でしっかり把持するため針軸は通常のものより太く、様々な術野に対応するため大小2タイプ(37㎜、27mm)の針を考案した。針先に近づくにつれて弯曲が強くなり、肛門疾患の手術のように手術野が狭くて深い場合に有用である。
現在我々は操作する部位に応じて針を使い分けている。術者が持針器と針軸との角度の微調整する必要はあるが、深部操作のストレスが軽減し、正確な運針が可能になったと感じている。ただし肛門縁に近い部位や腸管短軸方向の運針操作では、従来の正円周に近い針が使いやすい。全局面に万能な針ではないが、従来困難を感じている術野およびその局面においてストレスのない運針が可能になったと感じている。特に痔核の根部結紮、ACLの操作、深部の縫合止血操作などである。我々が考案した針が、肛門外科手術に用いる有用な道具の一つとなれば幸いである。紹介した針はanorecto-needleとして制作した。
現在我々は操作する部位に応じて針を使い分けている。術者が持針器と針軸との角度の微調整する必要はあるが、深部操作のストレスが軽減し、正確な運針が可能になったと感じている。ただし肛門縁に近い部位や腸管短軸方向の運針操作では、従来の正円周に近い針が使いやすい。全局面に万能な針ではないが、従来困難を感じている術野およびその局面においてストレスのない運針が可能になったと感じている。特に痔核の根部結紮、ACLの操作、深部の縫合止血操作などである。我々が考案した針が、肛門外科手術に用いる有用な道具の一つとなれば幸いである。紹介した針はanorecto-needleとして制作した。