Presentation Information
[R13-5]下部直腸癌に対する肛門操作先行手技の腫瘍学的成績
鏡 哲, 木村 駿吾, 小梛 地洋, 渡邊 健太郎, 三浦 康之, 甲田 貴丸, 鈴木 孝之, 金子 奉暁, 牛込 充則, 的場 周一郎, 大塚 由一郎 (東邦大学医療センター大森病院一般・消化器外科)
【はじめに】肛門近傍の下部直腸癌に対しての経肛門操作の先行は、狭骨盤や前立腺肥大患者に対するTMEを行ううえで有用なアプローチである。当科では、下部直腸癌に対する括約筋温存手術(sphincter preserving surgery :SPS)や腹会陰式直腸切断術(APR)を行ううえで、2005年より直視下で骨盤底部の剥離操作を行うTARD (Tarnsanal rectal dissection)を、2014年からは内視鏡下で剥離を行うTaTMEに移行し、現在に至っている。今回、下部直腸癌に対する肛門操作先行手技による腫瘍学的成績を検討した。
【対象】2005年1月から2024年12月までに当院で行った、肛門操作先行下部直腸癌手術症例195例について後方視的に検討を行った。
【結果】男性138例、女性57例、年齢中央値は65歳(27-86歳)、BMI中央値は22.4(16.6-41.8)であった。46例に術前治療(放射線化学療法33例、化学療法13例)が行われており、術式は ULAR (経肛門吻合): 107例、ISR: 77例、APR:11例であった。手術時間中央値は436分(221-906分)、出血量中央値は110ml(0-4442ml)であった。術中尿道損傷や血管損傷は認めなかった。C-D III以上の術後合併症を34例(17%)で認めた。病理学的にはf-stage 0/I/II/III/IV/pCR=1/80/52/54/4/4で、RM陽性を2例(1.1%)に認めた。stageIVを除いた191例のうち再発を39例で認め、再発率は20%で肺肝転移が21例(11%)で最も多かった。5年生存率は92.4%、5年無再発生存率は81.4%であった。【結語】下部直腸癌に対する肛門操作先行手技は腫瘍学的に許容される結果であると考えられ、下部直腸症例に対し有効なアプローチと考えられる。
【対象】2005年1月から2024年12月までに当院で行った、肛門操作先行下部直腸癌手術症例195例について後方視的に検討を行った。
【結果】男性138例、女性57例、年齢中央値は65歳(27-86歳)、BMI中央値は22.4(16.6-41.8)であった。46例に術前治療(放射線化学療法33例、化学療法13例)が行われており、術式は ULAR (経肛門吻合): 107例、ISR: 77例、APR:11例であった。手術時間中央値は436分(221-906分)、出血量中央値は110ml(0-4442ml)であった。術中尿道損傷や血管損傷は認めなかった。C-D III以上の術後合併症を34例(17%)で認めた。病理学的にはf-stage 0/I/II/III/IV/pCR=1/80/52/54/4/4で、RM陽性を2例(1.1%)に認めた。stageIVを除いた191例のうち再発を39例で認め、再発率は20%で肺肝転移が21例(11%)で最も多かった。5年生存率は92.4%、5年無再発生存率は81.4%であった。【結語】下部直腸癌に対する肛門操作先行手技は腫瘍学的に許容される結果であると考えられ、下部直腸症例に対し有効なアプローチと考えられる。