Presentation Information

[R13-6]傾向スコアマッチングを用いた当科におけるtaTME併用腹腔鏡下直腸切除術の検討

大和 美寿々, 石山 泰寛, 芥田 壮平, 皆川 結明, 中西 彬人, 林 久志, 藤井 能嗣, 岡崎 直人, 平沼 知加志, 平能 康充 (埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
PDF DownloadDownload PDF
【背景】
下部直腸癌の手術治療は, 術前治療やロボット支援手術の導入により近年大きな変革を遂げている. 手術アプローチにおいては超低位症例や肥満症例、狭骨盤症例等におけるtrans anal TME (taTME)併用手術の有用性も報告されており, 2024年版大腸癌治療ガイドラインにもtaTMEの記載が追加された.
当科では2021年7月より直腸Rb以下の症例でtaTME併用腹腔鏡下手術を導入している.
【目的】当科におけるTaTME併用直腸癌手術の手技を供覧し, その短期成績を検討する.
【方法】
当科にて2018年1月から2024年12月までに直腸Rb以下の病変に対し腹腔鏡下低位前方切除もしくは括約筋間直腸切除術を行ったのは253例であった. そのうち腹腔鏡のみでの施行群 166例 (Lap群) , taTME併用群87例 (ta群)に分けてスコアマッチングをし短期成績を検討した. マッチング調整因子は年齢, 性別, BMI, 前治療施行有無, 側方郭清施行有無, 術式(低位前方切除, 括約筋間直腸切除術)とした.
【結果】両群50例, 全100例がマッチングされた.マッチング後の患者背景に有意差は認めなかった.
手術時間 はta群で有意に短かった(ta 群 223分 vs Lap群 276分)(p=0.004). pDMに差は認めず(ta群 2.0 cm vs Lap群 2.0cm) (p=0.316), 両群ともにRM陽性となった症例は0例であった. 最終病理診断はp Stage I/II/III/VI/CR : ta群 26/11/10/1/3, Lap群 22/9/16/3/0であった. 合併症率に差は認めなかったが, 縫合不全はta群で1例(2.0 %), Lap群で7例(14.0 %)とta群で低い傾向であった (p=0.059).
【結語】
当科におけるTaTME併用腹腔鏡下直腸切除は比較的安全に施行可能であり, 手術時間を短縮する可能性がある. 今後長期予後を含め更なる検討が必要である.