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[R14-6]T2以浅リンパ節転移陽性大腸癌における予後因子の検討

横山 希生人, 笠井 俊輔, 塩見 明生, 眞部 祥一, 田中 佑典, 小嶋 忠浩, 井垣 タカヒロ, 森 千浩, 高嶋 祐助, 坂井 義博, 石黒 哲史, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 八尾 健太, 小林 尚樹, 山本 祥馬 (静岡県立静岡がんセンター)
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【背景】大腸癌取り扱い規約およびUICCのTNM分類においては、転移リンパ節数に基づいて予後が層別化されている。近年、Lymph Node Ratio(LNR:転移リンパ節数/郭清リンパ節数)は有用な予後因子の一つとして報告されているが、T2以浅の大腸癌症例に対してLNRを検討した報告はない。【目的】T2以浅かつリンパ節転移陽性の大腸癌症例における予後因子について、LNRの有用性を含めて検討すること。【対象と方法】2002年9月から2020年3月までに原発性大腸癌に対して根治術を施行した症例のうち、病理学的にT2以浅かつリンパ節転移陽性であった症例を対象とした。生存曲線はKaplan-Meier法で作成し、全生存期間(Overall Survival:OS)の比較はLog-rank検定を用いて行った。予後因子の検討にはCox比例ハザードモデルを用いて単変量・多変量解析を行った。【結果】対象は353例で、年齢中央値は66歳、性別は男性200例/女性153例、深達度はpT1/pT2が130例/223例、リンパ節転移はpN1/pN2が295例/58例であった。郭清リンパ節数の中央値は29個、転移リンパ節数の中央値は1個、LNRの中央値は0.05であった。術後補助化学療法は208例(59 %)に施行された。観察期間中央値は61.2か月であり、5年OSは94.1 %であった。OSに関する単変量解析では、LNR > 0.1(HR: 2.61, p = 0.01)、術後補助化学療法施行(HR: 0.39, p = 0.01)が有意な因子であった。多変量解析においても、LNR > 0.1(HR: 3.13, p = 0.003)、術後補助化学療法施行(HR: 0.33, p = 0.004)はOSに関連する独立した予後因子であった。5年OSは、pN1/pN2で94.4 %/92.8 %(p = 0.52)、Stage IIIA/Stage IIIBで94.6 %/91.1 %(p = 0.25)と有意差はなかった。一方で、LNR ≤ 0.1/LNR > 0.1では95.4 %/89.5 %(p = 0.008)と有意差があった。さらに、LNR ≤ 0.1の群では術後補助化学療法あり/なしで有意差はなかったが、LNR > 0.1の群では92.8 %/80.6 %(p = 0.004)と有意差があった。【結語】T2以浅リンパ節転移陽性大腸癌において、LNRは独立した予後因子であり、術後補助化学療法の適応判断における有用な指標となる可能性がある。