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[R17-4]基本手技を意識した若手外科教育 技術認定取得をめざして

廣川 高久, 島田 雄太, 中澤 充樹, 加藤 龍太郎, 庭本 涼佑, 藤井 善章, 上野 修平, 青山 佳永, 今藤 裕之, 宮井 博隆, 小林 建司, 田中 守嗣, 木村 昌弘 (刈谷豊田総合病院)
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【背景】保険収載されて以来ロボット支援手術の件数は飛躍的に伸びている。現在、当院では大腸癌手術全てをロボット支援手術の適応としている。そのような状況の中、手術の基本手技をロボット支援手術で教育している。手術の基本手技は主に切開、切離、剥離に分類される。この基本手技は技術認定の採点表で重視されており、これらをロボット手術で習得することが重要と考えている。
【基本教育】S状結腸切除(高位前方切除)を内側アプローチからIMA切離、腸間膜受動から外側受動、直腸間膜受動、直腸間膜処理の4パートに分割して教育を行っている。指導者とパート毎に部分執刀とし、パート毎に集中して教育ができると考えている。若手には現在基本手技の何に当たるかを常に意識させ、それに合わせた術野展開鉗子及び左手の牽引を行わせる。その意識により良好な術野展開が得られる。これらを繰り返していくことで計画的かつ円滑な手術進行になる。
【結果】2024年までに当院で大腸癌に対して540例のロボット支援手術が行われた。S状結腸切除、高位前方切除の144例を後ろ向きに検討を行なった。95例がS状結腸切除で49例が高位前方切除であった。81症例で若手教育が行われており、その手術時間中央値は213分、出血量は10mlであった。合併症は全体で6例(7.4%)に認められたが、CD III以上は縫合不全と吻合部出血の2例(2.5%)に認められた。今までに10人の若手医師に教育を行った。そのうち5例以上経験した6人のlearning curveをCUSUM方で検討すると平均4.1症例でプラトーが得られていた。
【結語】当院の教育方針は手術の基本手技を重視して行っている。5年目までの若手を中心に教育を行っているが、比較的早期にlearning curveが得られていた。これらの結果から当院の教育は効率良く安全に行われていると考えている。基本手技は言語化にも有用で、この方法で手術全体の教育が明確な言語化の中で行うことができる。解剖の理解を基にこれらの基本手技を繋いでいく教育は継承しやすく次世代指導者育成にもなり、技術認定制度の目的に合致していると考えている。