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[R17-5]ロボット支援手術における技術認定医取得するための当科における工夫-若手外科医の立場から-

豊田 真帆, 奥谷 浩一, 藤野 紘貴, 岡本 行平, 小川 宰司, 伊東 竜哉, 秋山 有史, 今村 将史 (札幌医科大学外科学講座消化器外科分野)
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【はじめに】
 大腸癌に対するロボット支援手術は急速に普及してきており、2022年には術者要件が大幅に緩和され、2023年よりJSES技術認定制度の技術審査において、ロボット支援手術の症例も審査対象となった。当科でもプロクター指導のもと、若手外科医にロボット支援手術の執刀の機会が与えられており、各々技術認定医取得をロボット支援手術で目指している。
【目的】当科における若手外科医がロボット支援手術を安全に行うための工夫、並びに技術認定医取得に向けた取り組みについて、若手執刀医と指導医の手術成績の比較を含めて提示する。

【教育方法】ロボット術者は、十分なロボット支援手術の助手の経験をし、シミュレーターを用いたoff-JTを行っている者としている。術野展開は腹腔鏡下手術で定型化されたものと同様に行い、dual consoleを用いてプロクターが手術行程の各部分で介入することで、若手外科医も可能な限り技術の習得ができるように工夫している。また経肛門アプローチを併用することで、下部直腸癌症例であっても、内側アプローチ〜郭清・血管処理〜外側授動というS状結腸切除術に必要な手技を、過度な時間の延長なく経験できる。
【対象と方法】
2024年1月から2025年2月までに結腸癌・直腸癌に対して手術を施行した結腸癌 60例(指導医執刀37例、若手外科医執刀23例)、直腸癌73例(指導医執刀53例、若手外科医執刀20例)を対象とし、若手術者と指導医の手術成績の比較を行った。
【結果】
結腸癌、直腸癌ともに性別・年齢・BMI・ASA-PS・pStageはすべて両群間で有意差はなかった。指導医執刀群と若手外科医執刀群で、結腸癌、直腸ともに手術時間、出血量、術後合併症Clavien-Dindo分類 Grade≧3発生率、郭清リンパ節個数に差は認めなかった。開腹移行はいずれの群でも認めなかった。
【考察】
当科におけるロボット支援手術では、指導医群と若手外科医群の手術成績に有意差を認めず、若手外科医が執刀しても安全に施行されていた。
【結語】
当科での若手外科医によるロボット支援手術は安全に施行されていた。また技術認定医取得に向けた取り組みについて提示した。