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[R18-5]手術コスト、若手教育、手術時間を考慮した当院におけるロボット支援S状結腸切除術

高橋 佑典, 徳山 信嗣, 河合 賢二, 俊山 礼志, 山本 昌明, 酒井 健司, 竹野 淳, 宮﨑 道彦, 平尾 素宏, 加藤 健志 (国立病院機構大阪医療センター外科)
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結腸癌に対するロボット支援下手術は、2022年の保険収載以降、全国的に症例数が増加しつつあり、その精緻な操作性や安定した視野などの利点から、結腸癌に対しても有用であると注目されている。当院でもダビンチXiを導入以降、結腸癌の手術でも積極的にロボット手術を行っている。一方で、ロボット手術には高額な機器使用に伴うコスト増、ロボット手術術者資格を持たない若手外科医が執刀する機会を得にくくなることによる教育面での課題、さらにロボット手術術者資格を取得した若手医師が執刀する場合でもロボット手術ではSolo Surgeryの要素が腹腔鏡に比較して多くなることから手術の難易度が高く手術の質が担保しにくくなること、さらに当院はsingle consoleであることから若手医師執刀時の術者交代が即座には困難であることから手術時間が延長するといった問題もある。また、ロボット手術と腹腔鏡手術を併用している当院のような施設にとって、S状結腸切除術はロボット手術術者資格を持たない若手医師が腹腔鏡で執刀するのに適した術式であり、これを高コストであり術者資格がなければ執刀できないロボット手術で行うことが適切かどうか判断は難しい。これらの課題に対し、当院ではロボット手術の利点を活かしつつ、コストを削減する現実的な対応を行っている。具体的には、ステイプラーはロボット用ではなく腹腔鏡用を使用し、コストを抑制する。指導医が執刀する症例では、難易度は高くなるが高額なadvanced energy deviceの使用を極力避け、全ての操作をモノポーラとバイポーラで行うことでコスト削減を図っている。若手外科医が執刀する場合には、比較的安価に利用可能である旧型の腹腔鏡用エネルギーデバイスを用いたFUSION SURGERYを行うことで、手術時間や安全性、教育的意義を両立できるよう努めている。当院におけるロボット支援S状結腸切除術の運用実態に関して報告し、コスト、若手教育、手術時間に配慮した手術ビデオを供覧する。