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[R19-4]肺転移切除症例から考える大腸癌肺転移オリゴメタの臨床病理学的特徴

髙山 裕司, 清水 友哉, 松澤 夏未, 福井 太郎, 柿澤 奈緒, 力山 敏樹 (自治医科大学附属さいたま医療センター)
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【はじめに】肺転移を含めて遠隔転移の個数が5個以下の症例をオリゴメタと分類した場合、ガイドラインでは外科的切除が基本的な方針である。しかし実臨床においては転移の状況によって治療方針に悩むことが少なくない。今回われわれは、当院で大腸癌肺転移オリゴメタ症例に対して切除を行った症例を対象に臨床病理学的特徴の解析を行い、今後に活かせる治療戦略を考察した。
【対象と方法】当院で2009年4月〜2022年3月に大腸癌肺転移5個以内に対して切除を行った108例を対象に後ろ向き観察研究を行った。
【結果】平均年齢は66.6歳(37-86)、男性67例、女性41例、結腸癌49例、直腸癌59例であった。同時性転移が15例、異時性が93例であり、ステージはI/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳがそれぞれ7/32/53/16例であった。肺転移個数は単発が81例、2~3個が21例、4〜5個が6例であり、右肺57例、左肺44例、両側7例であった。組織型に関してはmuc1例、他は全例が分化型であった。
異時性転移93例の再発時の腫瘍マーカーに関して、CEAは70例(75.3%)、CA19-9は75例(80.6%)が正常範囲内であった。術前PET-CTは65例で撮影しており、集積症例は51例(78.5%)であった。原発巣術後に補助化学療法を導入した症例が41例、肺転移巣術後に補助化学療法を行なった症例は43例で、レジメンはCAPOXが30例、カペシタビン単剤が7例、その他6例であった。肺転移切除後の再発症例は67例で、うち肺転移再再発が34例、肝転移再発が11例含まれていた。肺転移切除によりR0切除を達成した102例を対象とすると、単発79例の中で45例(57%)、2〜5個の23例の中で16例(70%)は再再発を来した。複数個の中でも個数別に分けた際に、2個は8/11(72.7%)、3個は6/8(75%)、4〜5個は2/4(50%)と複数個の中での違いは明らかでなかった。
【結語】
肺転移オリゴメタ病変に対して外科的切除に進む症例の特徴として、異時性転移が多く、原発巣の組織型が分化型であり、腫瘍マーカーの感度は低いことが挙げられた。複数個の肺転移が出現した場合、術後の再発率に明らかな違いを認めなかった。