Presentation Information
[R20-4]ロボット支援腹腔鏡下手術で行った稀で複雑な回結腸静脈の変異上行結腸癌の一例:右側結腸癌切除における最適な外科的アプローチの選択
北川 和男1, 般若 祥人1, 栗田 紗裕美1, 下山 雄也1, 隈本 智卓1, 衛藤 謙2 (1.東京慈恵会医科大学附属柏病院外科, 2.東京慈恵会医科大学外科学講座)
【はじめに】 右側結腸癌の手術において回結腸静脈は重要な解剖学的指となるが,稀に解剖学的血管変異を有する症例がある。複雑な解剖学的血管変異がある右側結腸癌に対して従来の腹腔鏡下アプローチは定型的な術野展開が困難であり解剖学的誤認による全結腸間膜切除や中枢側血管高位結紮が不十分になる可能性がある.また,血管処理時に従来の手術展開と異なるため組織に過度の緊張がかかり,血管損傷による大量出血の可能性がある.ロボット支援下手術は多関節機能を有するため,解剖学的血管変異症例でも血管の走行に合わせた剥離が可能であり,組織の緊張が少なく血管処理が可能である.定型的な術野展開を行っても組織剥離面のアプローチが可能なため解剖学的誤認しづらくなり,容易に全結腸間膜切除および中枢側血管高位結紮が可能である.本症例は回結腸静脈の血管変異症例に対し術前に血管変異を診断し,ロボット支援腹腔鏡下手術を行った極めて稀な報告例である.
【症例】 68歳,女性.既往歴は気管支喘息と造影剤アレルギーがある.右下腹部痛で精査したところ,上行結腸癌と診断した.非造影腹部CT検査所見で回結腸静脈根部と回結腸動脈根部が離れて走行していた.回結腸静脈は右結腸静脈および前上膵十二指腸静脈と合流しヘンレの胃結腸静脈幹に流入していた.右結腸動脈はヘンレの胃結腸静脈幹の腹側を走行し,末梢では右結腸静脈と並走していた.以上を術前に診断できたため,手術をロボット支援腹腔鏡下で行うこととした.回結腸動静脈および右結腸動静脈を根部で結紮切離するロボット支援腹腔鏡下右結腸切除術およびD3リンパ節郭清を行った.
【結語】 回結腸静脈の解剖学的血管変異がある上行結腸癌に対してロボット支援腹腔鏡下右結腸切除術を施行した.ロボット支援腹腔鏡下手術は多関節機能を有するため,解剖学的変異に対しても安全に遂行可能であった.文献的考察を加え報告する.
【症例】 68歳,女性.既往歴は気管支喘息と造影剤アレルギーがある.右下腹部痛で精査したところ,上行結腸癌と診断した.非造影腹部CT検査所見で回結腸静脈根部と回結腸動脈根部が離れて走行していた.回結腸静脈は右結腸静脈および前上膵十二指腸静脈と合流しヘンレの胃結腸静脈幹に流入していた.右結腸動脈はヘンレの胃結腸静脈幹の腹側を走行し,末梢では右結腸静脈と並走していた.以上を術前に診断できたため,手術をロボット支援腹腔鏡下で行うこととした.回結腸動静脈および右結腸動静脈を根部で結紮切離するロボット支援腹腔鏡下右結腸切除術およびD3リンパ節郭清を行った.
【結語】 回結腸静脈の解剖学的血管変異がある上行結腸癌に対してロボット支援腹腔鏡下右結腸切除術を施行した.ロボット支援腹腔鏡下手術は多関節機能を有するため,解剖学的変異に対しても安全に遂行可能であった.文献的考察を加え報告する.