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[R22-1]ロボット支援下直腸癌手術における縫合不全発症例の検討

横溝 肇, 岡山 幸代, 岩本 隼輔, 川畑 花, 河野 鉄平, 塩澤 俊一 (東京女子医科大学附属足立医療センター外科)
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【目的】当科での実臨床下でのロボット支援下直腸癌手術例を検討し,縫合不全発症の危険因子を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】2019年10月から2023年12月までに当科でda Vinci X surgical systemを用いてロボット支援下手術を施行した直腸癌手術を行った91例のうち,消化管吻合を行った65例を対象とし,臨床病理学的因子・手術因子について,縫合不全発症の有無別に検討を行った.
【結果】対象例は男性40例,女性25例,年齢69(39-87)歳,BMI 22.4(13.6-38)kg/m 2,PS 0 60例,1以上5例,ASA 2以下 57例,3 8例,PNI 50.629(34.442-61.664),N/L比 2.06(0.76-7.96),mGPS A群 50例,B・C・D群 13例であった.主占居部位はRS 10例,Ra 34例,Rb 21例であった.術式は前方切除9例,低位前方切除39例,超低位前方切除14例,ISR 3例で,側方郭清は2例に施行し,diverting ileostomyは20例に造設した.手術時間 335(236-655)分,コンソール時間191(134-387)分,出血量15(1-900)mlであった.腫瘍最大径は36(0-110)mm,壁深達度はT2以浅 26例,T3以深 39例,リンパ節転移程度はN0,1 57例,N2,3 8例,進行度はStage 0 3例,I 22例,II 18例,III 18例,IV 4例であった.縫合不全例は7例であった.各種因子と縫合不全の発症の関連をみると,BMI 25以上(p=0.0498),N/L比が2.06以上(p=0.0356)に縫合不全の発症が多くみられたが,その他の因子では関連はなかった.多変量解析を行うと,N/L比のみが独立した因子として抽出された(p=0.0433).
【結語】当科で施行した実臨床下でのロボット支援下直腸癌手術例における縫合不全の発症は,BMI 25以上,N/L比2.06以上の例に多くみられ,N/L比は縫合不全発症の独立した危険因子であった.