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[R22-5]直腸癌手術に対するtriple-rows circular staplerの有用性の検討

内藤 正規1, 根岸 宏行1, 勝又 健太1, 臼井 創大1, 天野 優希1, 西澤 一1, 小川 淳博1, 中野 浩1, 大坪 毅人2, 民上 真也2 (1.聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器・一般外科, 2.聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科)
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【緒言】直腸癌手術における縫合不全は最も憂慮される合併症のひとつであり,約10%前後に発生するといわれている。double stapling technique(DST)はcircular staplerを用いた器械吻合であり、内反吻合であるため吻合初期は耐圧性が脆弱である。本研究では、DST吻合においてlip marginの保持と耐圧性に優れるtriple-rows circular staplerの(tri-stapler)有用性を検討した。
【目的・対象】tri-staplerの使用を開始した2023年2月から2025年3月までに腹腔鏡下直腸切除術を施行した36例(男性21例、女性15例)を対象とした。tri-staplerは、トライステープル™ EEA™ サーキュラー 25mmパープル(Medtronic)を全例に使用した。tri-staplerの縫合不全に対する有用性を明らかにするために、周術期の短期成績を詳細に検証した。
【結果】年齢は64.3±12.1歳で、BMIは21.0±3.1であった。手術時間は164(99-460)分、出血量は7.9(5-100)gであった。高位前方切除が11例、低位前方切除が20例、超低位前方切除が5例であった。diverting stomaは14例(38.9%)に造設されており、経肛門ドレーンは23例に挿入されていた。縫合不全を3例(8.3%)に認めた。Clavien-Dindo分類のGrade IIIaが1例(2.8%)、Grade IIが2例(5.6%)であった。
【結語】本研究の結果からtri-staplerは縫合不全を回避し、重症化を防ぐ可能性が示された。縫合不全を無くすためには、症例の蓄積と吻合条件を含めた更なる検証が必要である。