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[R23-5]直腸癌術後局所再発に対する術前化学放射線治療から手術までの至適期間についての検討

樋口 智1, 植村 守1, 草深 弘志1, 大﨑 真央1, 楠 誓子1, 瀧口 暢生2, 朴 正勝3, 竹田 充伸1, 関戸 悠紀1, 波多 豪1, 浜部 敦史1, 荻野 崇之1, 三吉 範克1, 土岐 祐一郎1, 江口 英利1 (1.大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学, 2.りんくう総合医療センター消化器外科, 3.大阪けいさつ病院消化器外科)
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【背景】直腸癌術後局所再発(LRRC)の治療は欧米では術前CRT+手術が選択されることも多いが、確立された集学的治療戦略は存在しておらず、術前CRTの意義を検証するために本邦ではJCOG1801が施行されている。CRTから手術までの期間については治療効果の最大化と手術安全性などのバランスを勘案する必要があるが、LRRCにおいてはまとまった報告がなく、最適な手術時期は不明である。今回,当院でLRRCに対して術前CRTを行った症例を後方視的に評価し,手術までの至適期間について検討した.
【方法】2005年3月から2024年1月までに当院でLRRCに対して術前CRT(50Gyまたは50.4Gy)後に手術を行った65例を解析対象とした.CRTから手術までの期間(短期群:6-9週間または長期群:9-14週間)で2群に分け,臨床病理学的特徴および周術期治療成績,予後について比較検討した.
【結果】65例の内,短期群には10例(中央値:52.5日),長期群には31例(中央値:84日)が分類された.患者背景(手術時の年齢,性別,身長,体重,BMI)には有意差は認めなかった.長期群でgrade 1b以上の組織学的治療効果が得られた患者が有意に多く(p<0.01),CRT後術直前CEAは有意に低く(p<0.05),局所R0切除が可能であった症例が多い傾向にあった(p=0.14).また,手術時間,術後合併症(Clavien-Dindo grade3以上),術後在院日数に有意差は認めなかった.さらに,短期群と長期群で全生存期間に有意差は認めなかったが,無病生存期間(p<0.05),無局所再発生存期間(p<0.05)は長期群で有意に延長した.
【結語】今回の検討では術前CRTから手術までの期間は9-14週間と比較的長期間設定することが周術期の安全性を維持したまま治療成績,予後に良い影響をもたらす可能性が示された.今後さらなる症例数の蓄積が必要である.