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[R25-5]Hugo-RASから始めるロボット支援下大腸癌手術教育

柏木 惇平, 戸田 重夫, 前田 裕介, 岡崎 直人, 福井 雄大, 花岡 裕, 上野 雅資, 黒柳 洋弥 (虎の門病院消化器外科下部)
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【背景・目的】近年ロボット支援下大腸癌手術の普及とともに、若手外科医がロボット手術を行う機会が増加している。筆者は卒後5年目の外科専攻医として、腹腔鏡下大腸癌手術の経験後、Hugo-RASを使用してロボット支援下大腸癌手術の執刀を開始した。その経験から今後の若手世代のロボット支援下大腸癌手術の発展に貢献することを目的とした。
【方法】当院は2024年3月にHugo-RASを導入した。初期は他機種ロボット手術の経験があり内視鏡外科技術認定を持つ上級医がプロクターの監督下で執刀して術式定型化を行った。6か月経過後から卒後5~7年の内視鏡外科技術認定を持たない若手外科医がプロクターの監督下で執刀した。若手外科医のロボット執刀条件は①大腸専攻、②50例以上の腹腔鏡下大腸癌手術の執刀経験とした。2024年3月から2025年4月のHugo-RASによるロボット大腸癌手術のデータを検討した。
【結果】当院で2024年3月から2025年4月にかけてHugo-RASによる大腸癌手術を155例行った。上級医執刀は124例、若手執刀は31例であり、そのうち筆者は14例を経験した。年齢中央値は66歳(37-90歳)、性別は男性76例、女性79例であった。腫瘍部位は右側結腸48例、左側結腸33例、直腸74例、術式は結腸右半切除42例、横行結腸切除3例、結腸左半切除5例、S状結腸切除29例、前方切除55例、直腸切断術19例、括約筋間切除/骨盤内臓全摘1例ずつであった。手術時間の中央値は297分(四分位範囲:243-368分)、コンソール時間の中央値は171分(同127-226分)、出血量の中央値は10ml(同0-70ml)であった。臨床病期分類はI/Ⅱ/III/IVがそれぞれ72/28/33/22例であった。C-D Grade2以上の術後合併症は19例(12.3%)に認めた。術後在院日数の中央値は9日(同8-13日)であった。上級医執刀と若手執刀の手術成績には有意差を認めなかった。
【考察】手術時間に関しては上級医、若手外科医ともに明らかなLearning Curveを認めず、上級医執刀と若手執刀の手術成績に有意差を認めなかった。これは術者の腹腔鏡手術経験、プロクターの監督、定型化された術式のためと考えられた。
【結語】 若手執刀ロボット手術は、適切な条件のもとで行えば安全に導入可能である。