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[R28-5]ロボット支援下直腸手術における腸管前処置と周術期経口摂取

新井 聡大, 増田 大機, 大和 美寿々, 今井 光, 金城 宏武, 朝田 泰地, 鈴木 碧, 金田 亮, 山口 和哉, 吉野 潤, 長野 裕人, 入江 工, 井ノ口 幹人 (武蔵野赤十字病院外科・消化器外科)
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【背景】直腸癌術前には術後合併症低減目的に腸管前処置が行われるが、米国では機械的前処置(MBP)と化学的前処置(OABP)の併用である化学的機械的前処置(OAMBP)が推奨されている。日本ではOABPは保険収載されておらず、当院では、ロボット導入当初はMBPのみであったが、2023年9月よりOAMBPを導入した。OABPは術前日カナマイシン3000mgとメトロニダゾール1500mgを内服としている。経静脈的予防的抗菌薬は執刀直前にセフメタゾール1gを投与し、術中は3時間ごとに追加投与を行い、術後3時間後に再度投与を行っている。食事は術前日昼までとし、アルギニン飲料を術前日夕と当日執刀開始3時間前までに各250mL服用としている。術後は第1病日より食事再開としている。
【目的】直腸癌に対するロボット支援下手術におけるMBP群とOAMBP群の短期成績を明らかにすること。
【対象と方法】2019年から2024年まで、ロボット支援下直腸手術を施行した症例を対象とし、短期成績を明らかにした。
【結果】対象症例は206例、MBP群136例、OAMBP群70例。年齢中央値70歳、BMI中央値22.1。年齢、性別、BMI、腫瘍局在に両群間で有意差は認めなかった。術式、一時的人工肛門造設率に両群間では有意差は認めなかった。手術時間はMBP群357分、OAMBP群276分と有意に短かった。Clavien-Dindo分類GradeIIIの合併症はMBP群11例(8.1%)、OAMBP群3例(4.3%)で両群に有意差は認めなかった。GradeIIの合併症はMBP群34例(25.0%)、OAMBP群7例(10.0%)で有意にOAMBP群で少なかった。SSIは有意差を認めなかったがMBP群で17例(12.5%)、OAMBP群で3例(4.3%)に認めた。縫合不全はMBP群で10例(7.4%)、OAMBP群では認めず、有意にOAMBP群で少なかった。術後排ガス確認病日はMBP群で3日、OAMBP群で2日であり、術後在院日数はMBP群が9日、OAMBP群が7日でいずれも有意にOAMBP群で少なかった。
【結語】当院での直腸癌に対する周術期管理を示した。OAMBPは術後合併症低減に寄与し、術後在院日数を減少させる可能性があることが示唆された。