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[R29-1]肛門初発クローン病の診断における内視鏡所見の意義
高野 竜太朗, 指山 浩志, 堤 修, 小池 淳一, 安田 卓, 坪本 敦子, 中山 洋, 鈴木 綾, 城後 友望子, 黒崎 剛史, 浜畑 幸弘 (辻仲病院柏の葉)
【背景】肛門病変を初発とするクローン病(CD)では確定診断までに時間を要すため、早期診断の実現が重要な課題である。診断には内視鏡検査が重要な役割を担うが、肛門初発CDの内視鏡所見に関してはさらなる症例の集積と検討が求められている。【目的】肛門初発CDの臨床像および内視鏡所見を検討する。【対象・方法】2013年1月から2025年3月までの当院受診例で、主訴が肛門病変であり、初診時の一連の検査で確診に至らず、後にCDと診断された症例を肛門初発CDと定義し後方視的に検討した。【結果】対象は23例。年齢中央値21歳(10~47歳)、CD確定診断までの期間は542日(16~2583日)で、83%(19例)は3年以内に確診に至った。CDの病型は、大腸型4例、小腸型2例、小腸大腸型15例、不明2例であった。肛門所見はcavitating ulcer 4例、浮腫状皮垂3例であり、裂肛は8例、単純痔瘻2例、複雑痔瘻19例であった。確診前に施行された検査のうち、上部消化管内視鏡検査は10例中1例で竹の節状外観を認めた。小腸カプセル内視鏡は4例全例で回腸に多発びらんを認めた。下部消化管内視鏡(CS)は、詳細が確認可能な18例中17例で確診前に施行されていた。初回CSは肛門病変発症後241日(42~1193日)で施行され、17例で炎症所見(潰瘍6例、びらん13例、発赤4例)を認めた。炎症部位は盲腸13例、回腸11例、S状結腸10例の順に多く、回腸終末または盲腸のいずれかに炎症を認めた症例は89%(16例)であった。肛門所見や痔瘻の型、内視鏡上の炎症部位・程度との間に明らかな関連はなかった。肛門病変発症後1年未満にCSを施行された症例(n=12)では、確診までの日数中央値は423.5日(100~2583日)、1年以降にCSを施行した症例(n=6)では691.5日(446~1492日)であり、早期にCSを施行した群では確定診断が早い可能性が示唆された。確認可能な22例中20例でCSが後の確定診断に寄与していた。【結語】肛門初発CDを疑う場合、早期のCSを施行し、特に回盲部に炎症が見られた場合は積極的にフォローすることが必要である。