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[R29-6]当院のクローン病に合併した肛門病変に対する治療について

新垣 淳也1, 古波倉 史子1, 佐村 博範1, 堀 義城1, 山城 直嗣1, 長嶺 義哲1, 原田 哲嗣1, 本成 永1, 金城 直1, 伊禮 俊充1, 亀山 眞一郎1, 伊志嶺 朝成1, 金城 健2, 金城 福則2 (1.浦添総合病院消化器病センター外科, 2.浦添総合病院消化器病センター内科)
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(はじめに)クローン病において肛門部は回盲部とならんで罹患頻度の高い部位であり,肛門部病変を知ることは早期診断の手がかりとしても重要である.(目的)当院のクローン病肛門病変について調査した.(対象,方法) 2005年~2022年の期間,当院で治療されたクローン患者241例中,肛門病変併存の患者は85例(35.3%)で肛門病変の種類,病型,癌合併の有無等後方視的に検討した.(結果)肛門併存疾患85例の肛門病変の種類は痔瘻 69例,肛門周囲膿瘍55例(重複あり),痔瘻・肛門周囲膿瘍の割合が多かった.肛門疾患が先行してクローン病と診断された患者45例(18.7%)で,肛門病変併存患者85例の52.9%を占めた.病型は小腸大腸型72例,大腸型9例,小腸型4例であった.クローン病肛門病変例で,人工肛門造設が必要になった症例は14例(16.5%)あり,難治性痔瘻が増悪した症例7例,癌合併症例3例,肛門病変以外の症例4例であった.直腸肛門管癌2例あり,1例目は診断時にStageIVの患者であった.診断治療から1年で死亡している.2例目は一過性血便あり内視鏡検査(CS)施行.直腸に軽度びらんが散在程度であった.1年後MRI検査施行.肛門周囲多房性嚢胞性病変認め粘液癌疑い当科紹介となった.CS施行し肛門部skin tag近傍に隆起病変を認め生検で粘液癌の診断であった.手術:腹会陰式直腸切断術,前立腺全摘,膀胱瘻造設,臀溝皮弁術施行.病理検査:Type 5, muc, pT4a, N0, M0, pStageIIb.現在外来フォロー中である.(考察)クローン病の診断で,肛門症状が契機となることがある.特徴的な肛門病変を知っていることは大切である.内科医と外科医で緊密に連携し,肛門機能の保持,過度の外科的侵襲を抑えた治療を行い,さらに癌合併まで考慮した管理,早期発見に努めることが重要である.