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[R4-2]直腸脱に対する腹腔鏡下直腸固定術の短期・中期成績
大島 隆一1, 國場 幸均2, 宮島 伸宜2, 松島 小百合2, 紅谷 鮎美2, 佐井 佳世2, 米本 昇平2, 酒井 悠2, 鈴木 佳透2, 小菅 経子2, 松村 奈緒美2, 河野 洋一2, 宋 江楓2, 下島 裕寛2, 岡本 康介2, 黒水 丈次2, 松島 誠2, 四万村 司1, 民上 真也3 (1.川崎市立多摩病院消化器・一般外科, 2.松島病院大腸肛門病センター肛門科, 3.聖マリアンナ医科大学病院消化器・一般外科)
【背景】当院では2023年12月より腹腔鏡下直腸固定術を導入した。【目的】当院における腹腔鏡下直腸固定術の短期および中期成績を検討することを目的とした。特に術前後の肛門内圧機能検査から見た直腸機能の改善度に焦点を当てて検証した。【対象と方法】2023年12月から2024年12月の間に腹腔鏡下直腸固定術を施行した60例を対象とし手術成績について後方視的に検討した。肛門内圧検査は術前および術後3ヶ月に全例施行し、最大静止圧(MRP)と最大随意収縮圧(MSP)で評価を行った。【手術適応】術前に排便造影検査を行い、仙骨前面の固定が不良な直腸脱、直腸重積の症例を対象とし、全身麻酔が可能な症例を適応とした。【手術手技】腹腔鏡下に直腸の授動を全周性に肛門挙筋レベルまで行った後に直腸を吊り上げ仙骨前面に固定する。側方靭帯は基本的に温存している。直腸の固定は左右の腸間膜を仙骨前面に直接タッキングで行い、腹膜修復を行う。【結果】年齢の中央値は73.5歳(27-86)、男性8例、女性52例。直腸脱症例が43例、直腸重積例が17例。病脳期間の中央値は12ヶ月。脱出腸管長は4cm。手術時間の中央値は193.5分、出血量は9ml、術後合併症は後腹膜血腫の1例のみであり重篤な合併症は認めていない。術後の在院日数は8日。現在まで再発は1例も認めていない。直腸脱症例と重積例のMRP値はそれぞれ26.0±14.5mmHgと43.4±25.8mmHgであり直腸脱症例で有意に低値であった。また、直腸脱症例において術前後のMRP値は+6.73mmHgであり、上昇率は1.43倍に改善を認めた。その改善具合が病脳期間や脱出腸管長によって左右されるかを検証したが、病脳期間が12ヶ月前後、脱出腸管長が5cm前後で比較検討を行ったが、いずれも差は認めなかった。【考察】術後観察期間の中央値が8ヶ月とまだ短期間ではあるものの、再発例は1例も認めておらず、重篤な合併症も認めていないことから良好な成績と考えられた。肛門内圧に関しては、直腸脱症例に関して術後に改善を認めており、術前の病脳期間や脱出腸管長に左右されることなく改善が期待できると考えられた。