Presentation Information
[R4-4]直腸脱に対する腹腔鏡下直腸つり上げ固定手術の低侵襲化の工夫と治療成績
梅谷 直亨, 田村 徳康, 寺西 宣央, 代永 和秀, 箱﨑 智樹, 園田 寛道 (河北総合病院消化器一般外科)
直腸脱の標準治療は腹腔鏡下直腸つり上げ固定手術であるが、高齢者に多い疾患であるため、より低侵襲であることが望ましい。我々は低侵襲化のための様々な工夫を行っている。
【手術手技】
臍部のカメラポート (12mm) 以外はすべて5mmの細径ポートを使用する。術者のワーキングポートも細径にすることで術後疼痛を軽減できる。さらに、気腹圧を8mmHgと低く設定し皮下気腫を抑制し呼吸状態悪化リスクを回避している。腹壁が薄い症例が多いので視野は確保可能である。呼吸状態が悪い症例で4mmHgの超低圧+腹壁つり上げの経験もある。
手術台頭低位は15度までとし、視野確保困難であればエンドラクターを使用する。
手技の定型化により手術時間を短縮する。3本の針糸にて腸管の引き上げ、メッシュ固定および腹膜閉鎖までを行っている。
側方靱帯を温存し術後便秘を回避し、S状結腸切除は併用せず縫合不全リスクを排除する。
再発再手術は大きな侵襲であると考え、全例にメッシュを使用し再発率を抑制している。メッシュは間膜背側経由で留置し、感染や露出などトラブルなし。
【術前検査の負担軽減】
高齢者では通院も負担になるので、初診日に術前検査を実施し来院回数を削減する。術式選択には単純なアルゴリズムを採用し、排便造影や肛門機能検査は施行しない。
【症例】
2014~2025/3 の腹腔鏡下直腸つり上げ固定手術症例 296例 (男28, 女268)。うち90歳以上は69例 (男1, 女68)、ASA PS3 59例 (20%)。手術断念は非代償性肝硬変と膵癌末期、腎不全急性増悪の3例のみ。
【治療成績】
術前受診回数1回、術後歩行・食事開始POD1、退院POD4、入院期間6日間、手術時間 140分 (2024年以降: 116分)、出血3.5mL (すべて中央値)。一過性譫妄以外の術後合併症0.7% (IIIb 1例: 癒着性腸閉塞、IV 1例: 退院後NOMI 93歳)。再発率≈2%。
【結語】
手術手技と周術期管理の最適化により手術の低侵襲化を実現した。高齢者においても安全に施行可能である。
【手術手技】
臍部のカメラポート (12mm) 以外はすべて5mmの細径ポートを使用する。術者のワーキングポートも細径にすることで術後疼痛を軽減できる。さらに、気腹圧を8mmHgと低く設定し皮下気腫を抑制し呼吸状態悪化リスクを回避している。腹壁が薄い症例が多いので視野は確保可能である。呼吸状態が悪い症例で4mmHgの超低圧+腹壁つり上げの経験もある。
手術台頭低位は15度までとし、視野確保困難であればエンドラクターを使用する。
手技の定型化により手術時間を短縮する。3本の針糸にて腸管の引き上げ、メッシュ固定および腹膜閉鎖までを行っている。
側方靱帯を温存し術後便秘を回避し、S状結腸切除は併用せず縫合不全リスクを排除する。
再発再手術は大きな侵襲であると考え、全例にメッシュを使用し再発率を抑制している。メッシュは間膜背側経由で留置し、感染や露出などトラブルなし。
【術前検査の負担軽減】
高齢者では通院も負担になるので、初診日に術前検査を実施し来院回数を削減する。術式選択には単純なアルゴリズムを採用し、排便造影や肛門機能検査は施行しない。
【症例】
2014~2025/3 の腹腔鏡下直腸つり上げ固定手術症例 296例 (男28, 女268)。うち90歳以上は69例 (男1, 女68)、ASA PS3 59例 (20%)。手術断念は非代償性肝硬変と膵癌末期、腎不全急性増悪の3例のみ。
【治療成績】
術前受診回数1回、術後歩行・食事開始POD1、退院POD4、入院期間6日間、手術時間 140分 (2024年以降: 116分)、出血3.5mL (すべて中央値)。一過性譫妄以外の術後合併症0.7% (IIIb 1例: 癒着性腸閉塞、IV 1例: 退院後NOMI 93歳)。再発率≈2%。
【結語】
手術手技と周術期管理の最適化により手術の低侵襲化を実現した。高齢者においても安全に施行可能である。