Presentation Information
[R5-3]内視鏡通過不能右側結腸癌における術前SEMS留置の有用性と短期・中期成績に関する検討
北村 洋1, 辻仲 眞康1, 三浦 智也1, 初沢 悠人1, 山家 研一郎2, 澤田 健太郎1, 桜井 博仁2, 三田村 篤1, 日景 允1, 高見 一弘2, 近藤 典子2, 山本 久仁治2, 中野 徹1, 片寄 友2, 柴田 近1 (1.東北医科薬科大学病院消化器外科, 2.東北医科薬科大学病院肝胆膵外科)
【目的】閉塞性大腸癌に対する術前減圧処置として、Self-expandable metallic stent (SEMS)留置が普及しているが、右側結腸での有用性は十分に検討されていない。そこで、内視鏡通過不能な右側結腸癌に対する術前SEMS留置の短期・中期成績を分析し、その有効性と安全性を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】2019年4月から2023年3月に当院で原発巣切除を行った内視鏡通過不能右側結腸癌を対象とした。SEMS留置群(A群)と非SEMS群(B群)に分類し、患者背景、病理学的因子、手術関連因子、無再発生存期間、全生存期間について比較検討した。
【結果】対象症例は46例あり、A群18例、B群28例であった。患者背景では、年齢 (A群/B群: 中央値80/75.5歳, p=0.30)、性別(男性: 61.1/60.7%, p=1.0)、ASA3以上( 5.6/17.9%, p=0.38)において有意差はなかった。病理学的因子では、T4頻度(A群/B群:55.6/50.0%, p=0.769)、リンパ節転移陽性率(72.2/82.1%, p=0.48)に有意差はなかった。Stage別においても、A群(StageⅡ/Ⅲ: 72.2%, StageⅣ: 27.8%)とB群(StageⅡ/Ⅲ: 57.1%, StageⅣ: 42.9%)の間に有意差はなかった(p=0.361)。手術関連因子では、手術時間(中央値:255/208.5分, p=0.51)、術中出血量(中央値:12/60ml, p=0.12)、腹腔鏡手術の割合(66.7/60.7%, p=0.18)、CD分類Grade III以上の術後合併症率(0/7.1%, p=0.51)、術後在院日数(中央値:12/13日, p=0.35)のいずれの項目においても両群間で有意差はなかった。予後について、3年全生存率(72.6/57.1%, p=0.38)、StageⅡ/Ⅲ症例における3年無再発生存率(82.1/62.8%, p=0.23)ともに両群間に有意差はなかった。
【結論】内視鏡通過不能な右側結腸癌に対するSEMS留置による術前減圧は、周術期の合併症を増加させず安全性は示されたものの、治療成績に関する効果は限定的である可能性が示唆された。
【対象と方法】2019年4月から2023年3月に当院で原発巣切除を行った内視鏡通過不能右側結腸癌を対象とした。SEMS留置群(A群)と非SEMS群(B群)に分類し、患者背景、病理学的因子、手術関連因子、無再発生存期間、全生存期間について比較検討した。
【結果】対象症例は46例あり、A群18例、B群28例であった。患者背景では、年齢 (A群/B群: 中央値80/75.5歳, p=0.30)、性別(男性: 61.1/60.7%, p=1.0)、ASA3以上( 5.6/17.9%, p=0.38)において有意差はなかった。病理学的因子では、T4頻度(A群/B群:55.6/50.0%, p=0.769)、リンパ節転移陽性率(72.2/82.1%, p=0.48)に有意差はなかった。Stage別においても、A群(StageⅡ/Ⅲ: 72.2%, StageⅣ: 27.8%)とB群(StageⅡ/Ⅲ: 57.1%, StageⅣ: 42.9%)の間に有意差はなかった(p=0.361)。手術関連因子では、手術時間(中央値:255/208.5分, p=0.51)、術中出血量(中央値:12/60ml, p=0.12)、腹腔鏡手術の割合(66.7/60.7%, p=0.18)、CD分類Grade III以上の術後合併症率(0/7.1%, p=0.51)、術後在院日数(中央値:12/13日, p=0.35)のいずれの項目においても両群間で有意差はなかった。予後について、3年全生存率(72.6/57.1%, p=0.38)、StageⅡ/Ⅲ症例における3年無再発生存率(82.1/62.8%, p=0.23)ともに両群間に有意差はなかった。
【結論】内視鏡通過不能な右側結腸癌に対するSEMS留置による術前減圧は、周術期の合併症を増加させず安全性は示されたものの、治療成績に関する効果は限定的である可能性が示唆された。