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[R5-6]大腸癌化学療法中のステント治療は安全性か?
花畑 憲洋1, 五十嵐 昌平1,2, 高 昌良1,2, 前田 高人1,2, 福徳 友香理1,2, 菊池 諒一1,2, 島谷 孝司1,2, 沼尾 宏1, 村田 暁彦3, 棟方 正樹1 (1.青森県立中央病院消化器内科, 2.弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座, 3.青森県立中央病院外科)
【目的】大腸がん治療ガイドラインでは薬物療法の適応とならない患者における緩和目的と術前減圧目的については弱く推奨すると触れられているが化学療法中の患者に対する記載はない。一方、ESGEのガイドラインでは血管新生阻害薬使用中の大腸ステント留置は推奨しないとされている。一般臨床では化学療法施行中に発生した狭窄に対して緊急手術を行うかステント治療を行うか悩むことがある。化学療法中に施行された大腸ステントの安全性について明らかにする。【方法】2012年から2025年3月までに大腸癌化学療法施行中に発生した原発巣の閉塞に対して大腸ステントを留置した症例について患者背景、化学療法、偶発症について検討した。【結果】対象症例は35例、男女比25:10、年齢67.6±8.1歳、PS(0、1/2~4)は31/4、閉塞部位(左側/右側)は24/11、cStage(III/IV)は5/30だった。化学療法開始からステントまでの期間は平均363日、ステント施行時に行われていた化学療法はTriplet 7例、doublet 22例、単剤 6例、分子標的薬はBevacizumab 8例、Panitumumab 7例、Cetuximab1例に併用され、治療効果(PD/SD/PR)は8/22/5だった。ステントによる偶発症は穿孔3例(8.6%)、閉塞7例(20.0%)、逸脱6例(17.1%)、敗血症性ショックを1例(3%)に認めた。穿孔例と敗血症は全例緊急手術、閉塞例は1例を除き再ステント、逸脱は経過観察となった。ステント後の治療は手術7例、化学療法継続24例、BSC4例だった。【考察】緩和目的の大腸ステント留置における全偶発症は22~33%であり穿孔は0~5%程度とされる。今回の検討では穿孔は8.6%と多く、比較的早期に見られ、治療効果は3例ともSDだった。ステント前に施行していた化学療法治療効果が影響していた可能性がある。【結語】化学療法中の大腸ステント留置は穿孔を増加させる可能性があり十分に注意する必要があると考えられた。