Presentation Information
[R6-1]閉塞性大腸癌に対する治療戦略
島田 麻里, 綿貫 誠也, 吉川 琢馬, 高橋 環, 吉川 侑吾, 大江 準也, 片野 薫, 岩城 吉孝, 美並 輝也, 金本 斐子, 奥田 俊之, 前田 一也, 宮永 太門, 二宮 致, 道傳 研司 (福井県立病院外科)
【背景】閉塞性大腸癌症例に対する減圧方法は従来のイレウス管・人工肛門造設に加え,大腸ステントが保険適応となりBridge to surgery(BTS)の症例が増えている.当院での閉塞性大腸癌症例について検討し報告する.
【対象と方法】2023年1月~2025年4月に診断された閉塞性大腸癌74例を対象とした.19例はBSCを選択し,緊急減圧処置後に治療を行った55例について臨床病理学的所見や短期成績について検討した.当院では緊急減圧処置の第一選択は大腸ステントで,ステント留置困難な腫瘍局在や前治療適応の症例ではイレウス管もしくは人工肛門造設を施行している.
【結果】男性35例,女性20例,年齢75(31-92)歳.減圧処置は大腸ステント35例,イレウス管4例,絶食14例,緊急人工肛門2例施行した.腫瘍局在はC/A/T/D/S/Rs/Ra/Rb=6/12/9/5/11/8/3/1例,cStage2/3/4=13/24/18例であった.初診日から手術までの日数は25(0-101)日で原発切除を48例,人工肛門造設を7例に施行した.ステント留置後の手術待機期間に再閉塞を認めた症例が2例,ステント留置したが局所が切除不能であった症例が1例あった.腹腔鏡手術43例,ロボット手術5例,開腹手術7例であった.手術時間243(46-527)分,出血量5(0-1190)ml,Grade3以上の術後合併症は縫合不全2例,在院死は誤嚥性肺炎・心不全増悪にて2例認めた.術後在院日数は10(7-69)日であった.
【考察】閉塞性大腸癌に対して術前に減圧を行うことで緊急手術や人工肛門造設を回避できる症例が増えている.術前減圧後の手術は安全に施行されており,閉塞のない症例と比較し在院日数や合併症の増加は認めなかった.大腸ステントはBTSとして有用であるが,再閉塞や原発巣切除が困難であった症例もあり,今後の課題として,至適な手術待機期間や術前管理の検討,局所進行癌に対するステント留置の適応について内科・外科での連携が必要なことなどが挙げられる.
【対象と方法】2023年1月~2025年4月に診断された閉塞性大腸癌74例を対象とした.19例はBSCを選択し,緊急減圧処置後に治療を行った55例について臨床病理学的所見や短期成績について検討した.当院では緊急減圧処置の第一選択は大腸ステントで,ステント留置困難な腫瘍局在や前治療適応の症例ではイレウス管もしくは人工肛門造設を施行している.
【結果】男性35例,女性20例,年齢75(31-92)歳.減圧処置は大腸ステント35例,イレウス管4例,絶食14例,緊急人工肛門2例施行した.腫瘍局在はC/A/T/D/S/Rs/Ra/Rb=6/12/9/5/11/8/3/1例,cStage2/3/4=13/24/18例であった.初診日から手術までの日数は25(0-101)日で原発切除を48例,人工肛門造設を7例に施行した.ステント留置後の手術待機期間に再閉塞を認めた症例が2例,ステント留置したが局所が切除不能であった症例が1例あった.腹腔鏡手術43例,ロボット手術5例,開腹手術7例であった.手術時間243(46-527)分,出血量5(0-1190)ml,Grade3以上の術後合併症は縫合不全2例,在院死は誤嚥性肺炎・心不全増悪にて2例認めた.術後在院日数は10(7-69)日であった.
【考察】閉塞性大腸癌に対して術前に減圧を行うことで緊急手術や人工肛門造設を回避できる症例が増えている.術前減圧後の手術は安全に施行されており,閉塞のない症例と比較し在院日数や合併症の増加は認めなかった.大腸ステントはBTSとして有用であるが,再閉塞や原発巣切除が困難であった症例もあり,今後の課題として,至適な手術待機期間や術前管理の検討,局所進行癌に対するステント留置の適応について内科・外科での連携が必要なことなどが挙げられる.