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[R6-6]切除不能遠隔転移を有する閉塞性大腸癌の治療方針の検討

香中 伸太郎, 山田 岳史, 上原 圭, 進士 誠一, 松田 明久, 横山 康行, 高橋 吾郎, 岩井 拓磨, 宮坂 俊光, 林 光希, 松井 隆典, 吉田 寛 (日本医科大学付属病院消化器外科)
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【背景と目的】治癒切除不能な遠隔転移を有するStageIV大腸癌に対する治療戦略は定まっていない。現在本邦の大腸癌取り扱い規約においては無症状切除不能大腸癌に対しては原発巣切除を行わないことが推奨されているが、有症状の症例に関してはエビデンスがほとんどない。これは疾患の特性上、最終的なoutcomeとなる予後に差がつきづらく、十分なエビデンスにはいたっていない現状がある。中でも、閉塞症状を伴っている症例は、原発巣に対して治療介入が必須であり、その治療方針について検討する。【対象】2011/01から2021/12までに当院消化器外科で手術施行し、治癒切除不能StageIV大腸癌症例のうち、術前にCROSS 0-2の有症状閉塞性大腸癌を対象とした。【結果】原発巣切除を行った群(PTR群)は45例、原発巣切除を施行しなかった群(non-PTR群)は51例であった。患者背景としてPTR群でCROSS score 0の症例と右側結腸の症例が有意に多かった。CD≧3の術後合併症の発生率はPTR群で有意に高く(P<0.01)、手術から化学療法開始までの期間はPTR群で有意に長くなっていた(P<0.01)。Overall survival(OS)は両群間で有意差を認めなかった(p=0.90)。OSのrisk factorとして多変量解析をおこなうと術後化学療法の早期開始のみ有意なリスク低減因子であった(HR=0.16, p<0.01)【考察と結語】治癒切除不能Stage IV閉塞性大腸癌に対しても、原発巣切除は長期予後に影響しない可能性が示された。予後改善に最も寄与するのは化学療法を早期に開始することであり、ステントを含めた治療戦略の見直しを検討すべきである。