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[R7-3]90歳以上の超高齢者に対する大腸癌切除症例の短期成績

小林 成行, 武田 正, 吉田 亮介, 葉山 牧夫, 宇野 太, 河合 央, 山下 和城, 石崎 雅浩 (岡山労災病院外科)
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【背景】高齢化社会に伴い、超高齢者の大腸癌症例は増加傾向である。【対象と方法】2020年1月から2025年3月までの間に当院で大腸癌切除術を行った、90歳以上の超高齢者症例について検討を行った。【結果】対象期間の大腸癌切除症例は235例であった。そのうち90歳以上の症例は15例(6.4%)で、いずれも2022年以降の症例であった。年齢は中央値92歳(90-101歳)、性別は男性/女性=3/12、ASA-PSは2/3=11/4、何らかの基礎疾患を有する症例は14例(93.3%)であった。認知症があったのは6例(40.0%)、抗凝固薬を内服していたのは6例(40.0%)であった。腫瘍に伴う消化器症状を認めたのは13例(86.7%)で、7例(46.7%)は救急車で当院を受診して診断に至っていた。腫瘍占拠部位は、右側結腸/左側結腸/直腸=8/5/2で、2例(16.7%)は大腸ステント挿入後に手術が施行されていた。アプローチは全例腹腔鏡手術が施行されたが、そのうち2例(13.3%)は開腹移行していた。リンパ節郭清はD1/D2/D3=1/5/9であった。14例(93.3%)で切除後一期的吻合が行われ、1例(6.7%)はハルトマン手術が行われていた。Clavien-Dindo分類2以上の術後合併症を生じたのは2例(13.3%)で、手術関連死亡は認められなかった。術後在院期間は中央値:17日(10-28日)であった。病理病期は、pStage I/II/III/IV=2/4/8/1で、術後補助化学療法を施行された症例は認められなかった。術後に大腸癌のサーベイランスが行われたのは6例(40.0%)であった。【考察】2020-2021年には90歳以上の手術症例は認められず、COVID19の影響、高齢化の進行などがその原因として考えられた。併存疾患を有する症例や進行癌症例が多数を占めていたが、安全に手術を施行できていた。この要因として、多くの症例で腹腔鏡手術が施行されたこと、症例に応じてリンパ節郭清や一期的吻合を手控えたこと、術後合併症が多い上下部直腸癌症例が無かったこと、手術適応の適切な判断などが考えられた。【結論】90歳以上の超高齢者大腸癌症例に対しては、手術適応および術式を適切に選択することにより、安全に手術施行可能であった。