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[R8-6]高齢ハイリスク大腸癌患者の当院における手術治療成績
中西 彬人, 石山 泰寛, 藤井 能嗣, 林 久志, 西 雄介, 皆川 結明, 芥田 荘平, 椙田 浩文, 平沼 知加志, 平能 康充 (埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
【はじめに】近年高齢化に伴い高齢者に対する手術が増加している。高齢者は併存疾患も多く、手術リスクは上昇する可能性が高い。
今回、大腸癌に対して根治手術を行ったASA-PS3以上かつ80歳以上の高齢患者について検討したので報告する。
【方法】2008年4月から2022年12月までに当科で大腸癌に対して根治度Aの大腸切除術を行った症例3122名のうち、ASA3以上の107例を対象として、患者背景、術後中期成績、予後規定因子を後方視的に検討した。
【結果】年齢中央値は83歳,男性67名,女性40名であった。主な背景疾患としては心疾患59例、糖尿病27例、呼吸器疾患6例、維持透析中9例であった。栄養の指標であるPNI中央値は41.3で、mGPSはG0が48例、G2が28例、G3が31例であった。病変部位は盲腸癌10例、上行結腸癌26例、横行結腸癌19例、下行結腸癌2例、S状結腸癌21例、直腸Rs癌16例、直腸Ra癌4例、直腸Rb癌7例、肛門管癌2例であった。StageⅠ22例、StageⅡ52例、StageⅢ32例であった。術式は結腸切除78例、直腸切除・切断術29例であった。開腹18例、腹腔鏡87例、ロボット手術2例であった。手術時間中央値は161分,出血量中央値は30ml,術後在院日数中央値は8日であった. 術後合併症は23例(21.4%)に認めた。再手術は3例で、術後縫合不全は1例のみであった。術死は1名のみであった。全症例の術後5年生存率は70.5%であった。観察期間中央値は878日であった。生存期間解析でlogrank検定を行ったところ、男性、虚血性心疾患の既往のある患者はそれぞれ、女性、虚血性心疾患の既往のない患者と比べて5年生存率の低下を認めた。PNI低下例やmGPS=2以上の症例、直腸癌症例についてはそれぞれ、PNI通常例、mGPS=1,2 の症例、結腸癌症例と比較して生存率の低下を認めなかった。
【おわりに】高齢のASA3以上大腸癌手術症例について、男性、虚血性心疾患の既往は長期予後のリスク因子である可能性が示唆された。低栄養やその他因子は生存率の低下のリスク因子ではなかった.ただし,症例数が少ないのでさらなる検討が必要である.
今回、大腸癌に対して根治手術を行ったASA-PS3以上かつ80歳以上の高齢患者について検討したので報告する。
【方法】2008年4月から2022年12月までに当科で大腸癌に対して根治度Aの大腸切除術を行った症例3122名のうち、ASA3以上の107例を対象として、患者背景、術後中期成績、予後規定因子を後方視的に検討した。
【結果】年齢中央値は83歳,男性67名,女性40名であった。主な背景疾患としては心疾患59例、糖尿病27例、呼吸器疾患6例、維持透析中9例であった。栄養の指標であるPNI中央値は41.3で、mGPSはG0が48例、G2が28例、G3が31例であった。病変部位は盲腸癌10例、上行結腸癌26例、横行結腸癌19例、下行結腸癌2例、S状結腸癌21例、直腸Rs癌16例、直腸Ra癌4例、直腸Rb癌7例、肛門管癌2例であった。StageⅠ22例、StageⅡ52例、StageⅢ32例であった。術式は結腸切除78例、直腸切除・切断術29例であった。開腹18例、腹腔鏡87例、ロボット手術2例であった。手術時間中央値は161分,出血量中央値は30ml,術後在院日数中央値は8日であった. 術後合併症は23例(21.4%)に認めた。再手術は3例で、術後縫合不全は1例のみであった。術死は1名のみであった。全症例の術後5年生存率は70.5%であった。観察期間中央値は878日であった。生存期間解析でlogrank検定を行ったところ、男性、虚血性心疾患の既往のある患者はそれぞれ、女性、虚血性心疾患の既往のない患者と比べて5年生存率の低下を認めた。PNI低下例やmGPS=2以上の症例、直腸癌症例についてはそれぞれ、PNI通常例、mGPS=1,2 の症例、結腸癌症例と比較して生存率の低下を認めなかった。
【おわりに】高齢のASA3以上大腸癌手術症例について、男性、虚血性心疾患の既往は長期予後のリスク因子である可能性が示唆された。低栄養やその他因子は生存率の低下のリスク因子ではなかった.ただし,症例数が少ないのでさらなる検討が必要である.