Presentation Information
[R9-1]75歳以上の術前リンパ節転移陽性大腸癌患者におけるリンパ節郭清範囲の検討
岩瀬 友哉1, 阪田 麻裕1, 杉原 守1, 高木 徹1, 立田 協太1, 杉山 洸裕1, 赤井 俊也1, 深澤 貴子2, 竹内 裕也1 (1.浜松医科大学附属病院外科学第二講座, 2.磐田市立総合病院外科)
【緒言】近年、本邦における高齢化の進行に伴い、後期高齢者の手術症例も増加している。大腸癌治療ガイドライン2024年版では術前診断でリンパ節転移を認める場合はD3郭清が推奨されているが、高齢者ではその患者背景からD3郭清を選択しない場合がある。D3郭清を選択しない高齢者の周術期成績や長期成績への影響は明らかではない。
【方法】2008年1月から2022年12月までに当院でStageIVを除く術前診断でリンパ節転移陽性であった大腸癌に対し原発巣切除を行った75歳以上の127例を対象とし、D1/2郭清群(D1/2群)46例とD3郭清群(D3群)81例の周術期成績と長期成績を検討した。
【結果】観察期間中央値は43.6ヶ月であった。年齢中央値はD1/2群83歳、D3群80歳とD1/D2群で有意に高く(p <0.001)、ASA-PS 1:2:3はD1/2群0:31:15、D3群5:65:11でD1/D2群でASA-PS3の症例が有意に多かった(p=0.013)。原発巣は右側:左側がD1/2群20:24、D3群46:35、深達度はcT1/2/3/4がD1/2群1:1:22:22、D3群0:2:44:35で有意差は認めなかった。cN3の7症例全てにD3郭清が行われた。手術時間はD1/2群191分、D3群229分でD3群の手術時間が有意に長かった(p=0.014)。Clavien-Dindo分類GradeIII以上の周術期合併症は両群ともに6例で、術後在院日数中央値はD1/2群13日、D3群12日で有意差は認めなかった。5年癌特異的生存率(CSS)はD1/2群68.7%、D3群78.6%、5年無再発生存率(RFS)はD1/2群55.5%、D3群65.8%で両群間に有意差は認めなかった(p=0.807/p=0.622)。また病理学的診断でのリンパ節転移陽性群と陰性群でD1/2群とD3群でCSSとRFSを比較したが有意差は認めなかった。
【考察】本検討は、術前にリンパ節転移陽性と診断した症例に限定して行った。CSS、RFS共に同等な結果が得られたことから、高齢者において術前診断でリンパ節転移陽性と判断した症例においてもASA-PS等、患者背景を考慮し、D3郭清の省略は許容されうる可能性が示唆された。
【方法】2008年1月から2022年12月までに当院でStageIVを除く術前診断でリンパ節転移陽性であった大腸癌に対し原発巣切除を行った75歳以上の127例を対象とし、D1/2郭清群(D1/2群)46例とD3郭清群(D3群)81例の周術期成績と長期成績を検討した。
【結果】観察期間中央値は43.6ヶ月であった。年齢中央値はD1/2群83歳、D3群80歳とD1/D2群で有意に高く(p <0.001)、ASA-PS 1:2:3はD1/2群0:31:15、D3群5:65:11でD1/D2群でASA-PS3の症例が有意に多かった(p=0.013)。原発巣は右側:左側がD1/2群20:24、D3群46:35、深達度はcT1/2/3/4がD1/2群1:1:22:22、D3群0:2:44:35で有意差は認めなかった。cN3の7症例全てにD3郭清が行われた。手術時間はD1/2群191分、D3群229分でD3群の手術時間が有意に長かった(p=0.014)。Clavien-Dindo分類GradeIII以上の周術期合併症は両群ともに6例で、術後在院日数中央値はD1/2群13日、D3群12日で有意差は認めなかった。5年癌特異的生存率(CSS)はD1/2群68.7%、D3群78.6%、5年無再発生存率(RFS)はD1/2群55.5%、D3群65.8%で両群間に有意差は認めなかった(p=0.807/p=0.622)。また病理学的診断でのリンパ節転移陽性群と陰性群でD1/2群とD3群でCSSとRFSを比較したが有意差は認めなかった。
【考察】本検討は、術前にリンパ節転移陽性と診断した症例に限定して行った。CSS、RFS共に同等な結果が得られたことから、高齢者において術前診断でリンパ節転移陽性と判断した症例においてもASA-PS等、患者背景を考慮し、D3郭清の省略は許容されうる可能性が示唆された。