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[R9-6]大腸癌診療における三浦市立病院の役割について

澤﨑 翔1, 和田 博雄1, 大倉 拓1, 内山 護2, 渥美 陽介2, 加藤 綾2, 風間 慶祐2, 沼田 幸司3, 沼田 正勝3, 湯川 寛夫2, 齋藤 綾2, 小澤 幸弘1 (1.三浦市立病院外科, 2.横浜市立大学外科治療学, 3.横浜市立大学市民総合医療センター消化器病センター外科)
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【はじめに】三浦市は深刻な人口減少問題を抱えており,神奈川県の消滅可能性自治体に該当する。当院は三浦市の中核病院として限られた資源や設備の範囲で,外科はスタッフ3名で大腸癌に対する診療を行っている。低侵襲手術を希望する患者さんや高度進行症例,併存疾患の多い症例は近隣の総合病院や大学附属病院,がんセンターに紹介しているが,年齢や全身状態から治療が困難な患者さんや他院で治療後にBSCとなり逆紹介となる患者さんも多い。
【目的】高齢化の進む人口減少地域における当院での大腸癌診療における役割を明らかにする。
【対象と方法】対象は2021年4月より2025年2月に大腸癌で診療を受けた患者151名。臨床病理学的因子や社会背景をretrospectiveに調査した。
【結果】年齢中央値76歳(48-94歳),男性93例,女性58例。結腸癌112例,直腸癌39例)であった。当院で診断したのは137例であり,そのうち当院で手術、内視鏡治療や化学療法など積極的な治療を行ったのは81例(59.1%),治療目的に他院へ紹介となったのが49例(35.8%),BSCの方針となったのが10例(7.3%)でそのうち5例は緩和目的でステントを挿入していた。手術目的で他院へ紹介した49例のうち,患者希望が31例(63.3%),併存疾患の管理目的およびかかりつけ病院への紹介が9例(18.4%),医師判断(高度進行,高難度症例)が9例(18.4%)であった。他院からの紹介も含めたBSC症例23例中,死亡症例は14例みられたが訪問診療へ移行できたのは3例(21.4%)と少数であった。
【結語】当院における大腸癌診療を調査した。患者希望による他院への紹介が多くみられたが,2024年4月より腹腔鏡手術を導入しており低侵襲手術を希望する患者さんの期待に応え手術症例数を増やせる可能性がある。また高齢者が多く,併存疾患の状況や認知症により診断時にBSCとなっても,ステント挿入により自宅での生活が可能な症例もみられ訪問診療への移行も含めサポート体制を地域と協力し強化していく必要があると考えられた。