Presentation Information
[SY2-8]Clinical characteristics and surgical outcomes of refractory ulcerative colitis with bowel urgency
Kenji Tatsumi1, 黒木 博介1, 後藤 晃紀1, 中尾 詠一1, 小原 尚1, 齋藤 紗由美1, 木村 英明2, 荒井 勝彦1, 杉田 昭1, 小金井 一隆1 (1.Yokohama Municipal Citizen’s Hospital Inflammatory Bowel Disease Center, 2.横浜市立大学附属市民総合医療センター炎症性腸疾患センター)
【背景】近年,潰瘍性大腸炎(UC)に対する内科的治療の進歩により,難治例に対する外科治療は減少傾向にある.しかし新規薬剤を含む内科的治療でも十分な効果が得られず,urgency (便意切迫感)により日常生活や社会生活に著しい支障をきたす症例が存在する.
【目的】urgencyを合併したUC難治例の臨床的特徴と外科治療の成績を明らかにする.
【対象・方法】2010年4月~2024年8月にUC難治例で手術を行った373例を対象とした. 検討①:urgency合併群(U群)と非合併群(NU群)の2群に分け,臨床病理学的特徴,術前画像検査所見を比較検討した. 検討②:urgency合併例の術式,術後合併症を検討し,術前後で排便状況,社会生活を比較した.
【結果】検討①:181例(48.5%)にurgencyを合併していた.U群はNU群に比較して,発症年齢が高く(p=0.04),一日排便回数が多く(p<0.001),漏便の頻度が高かった(p<0.001).注腸造影検査においては,腸管の狭小化とS状結腸の直線化を有意に多く認めた(いずれもp<0.001).
検討②:urgency合併例の性別は男性111例,女性70例,UCの発症年齢は31歳,手術時年齢は40歳,初回手術後観察期間は86か月であった.大腸全摘回腸嚢肛門管吻合術(IACA)を171例に施行,術後合併症として縫合不全による汎発性腹膜炎を10 例(5.8%)に認め,全例に対し開腹ドレナージ,回腸人工肛門造設術を行った.人工肛門閉鎖を希望しなかった1例を除き,全例で人工肛門を閉鎖した.回腸嚢機能率は術後5年97.9%,10年95.3%であった.
回腸嚢機能170例で術前と術後1年目の排便機能を比較すると,1日排便回数は術前平均10.1回から術後7.5回へ減少し,urgency合併例は100%から0%,漏便は37.4%から3.3%へと有意に改善した(いずれもp<0.001).また全例での未就労,未就学例の比率は術前32.2%から術後1.7%へと有意に改善した(p<0.001).
【結語】潰瘍性大腸炎難治例のうちurgencyを有する症例では,排便回数や漏便が多く,腸管狭小化やS状結腸の直線化を伴うことが多い.IACA後の回腸嚢機能率は良好で排便状況や社会復帰状況も有意に改善することから,内科的治療で改善しないurgency合併例にはQOL改善目的の手術治療を検討すべきである.
【目的】urgencyを合併したUC難治例の臨床的特徴と外科治療の成績を明らかにする.
【対象・方法】2010年4月~2024年8月にUC難治例で手術を行った373例を対象とした. 検討①:urgency合併群(U群)と非合併群(NU群)の2群に分け,臨床病理学的特徴,術前画像検査所見を比較検討した. 検討②:urgency合併例の術式,術後合併症を検討し,術前後で排便状況,社会生活を比較した.
【結果】検討①:181例(48.5%)にurgencyを合併していた.U群はNU群に比較して,発症年齢が高く(p=0.04),一日排便回数が多く(p<0.001),漏便の頻度が高かった(p<0.001).注腸造影検査においては,腸管の狭小化とS状結腸の直線化を有意に多く認めた(いずれもp<0.001).
検討②:urgency合併例の性別は男性111例,女性70例,UCの発症年齢は31歳,手術時年齢は40歳,初回手術後観察期間は86か月であった.大腸全摘回腸嚢肛門管吻合術(IACA)を171例に施行,術後合併症として縫合不全による汎発性腹膜炎を10 例(5.8%)に認め,全例に対し開腹ドレナージ,回腸人工肛門造設術を行った.人工肛門閉鎖を希望しなかった1例を除き,全例で人工肛門を閉鎖した.回腸嚢機能率は術後5年97.9%,10年95.3%であった.
回腸嚢機能170例で術前と術後1年目の排便機能を比較すると,1日排便回数は術前平均10.1回から術後7.5回へ減少し,urgency合併例は100%から0%,漏便は37.4%から3.3%へと有意に改善した(いずれもp<0.001).また全例での未就労,未就学例の比率は術前32.2%から術後1.7%へと有意に改善した(p<0.001).
【結語】潰瘍性大腸炎難治例のうちurgencyを有する症例では,排便回数や漏便が多く,腸管狭小化やS状結腸の直線化を伴うことが多い.IACA後の回腸嚢機能率は良好で排便状況や社会復帰状況も有意に改善することから,内科的治療で改善しないurgency合併例にはQOL改善目的の手術治療を検討すべきである.