Presentation Information

[VPD2-2]Surgical concept for preventing recurrence based on the tissue of recurrent anal fistula and recurrent perianal abscess

Takayoshi Utsunomiya1, 八尾 隆史2, 兼清 信介1, 竹尾 幸子3 (1.kanekiyo Surgical Clinic, 2.順天堂大学医学部人体病理病態学, 3.(一財)防府消化器病センター防府胃腸病院)
PDF DownloadDownload PDF
痔瘻根治手術は、一定程度の再発を認める。また、肛門周囲膿瘍を切開排膿するだけで30-40%が、痔瘻化しないと言われているが、再発を繰り返す症例も多い。今回痔瘻根治手術症例89例と術後再発し組織検索可能22例と肛門周囲膿瘍切開を繰り返した9例についてその特徴と違いから再発を予防するための理論について考察した。①痔瘻術後例の特徴:en blocで採取した組織内に肛門腺を認める例は60%、肛門腺は円柱上皮、移行上皮、化生扁平上皮より構成されており膿瘍腔が、縮小するに従って化生扁平上皮の割合が多くなり、管腔も閉鎖してくる。膿瘍部は、バイオフィルム形成とともに被膜様線維化組織に覆われる。②痔瘻術後再発例の特徴:手術回数は、1-3回、初回手術より今回手術までの期間は平均2.4年。肛門腺を認めた症例は、14%で構成細胞は、円柱上皮、移行上皮、化生扁平上皮であった。その外径は、1005μm、内径は469μm。瘻管膿瘍部組織は、周囲を被膜様線維化組織に取り囲まれ、好中球を含む炎症細胞と異物型巨細胞があり、慢性炎症の結果としてのリンパ濾胞、類上皮肉芽腫を認めた。③繰り返す肛門周囲膿瘍切開後の組織の特徴:摘出組織内の肛門腺を認める割合は56%あり、外径は455μm、内径は、227μm。膿瘍は、好中球、リンパ球、形質細胞を含む細胞で構成されており、周囲は線維増生組織で被われていた。再発予防理論:①痔瘻発生は、肛門腺由来は60%あり、それ以外による発生は40%。切開排膿のみで治癒しない例は膿瘍がすでにバイオフィルムに覆われているために、抗菌剤、免疫回避が起こり治癒しないものと思われる。従って、手術は、できる限り、肛門腺を切除することと、膿瘍被膜を含めた組織を一括切除するか、バイオフィルムを排除できるようにドレナージすることが重要と結論できた。